ダイレクトマーケティング『スピーシーズドメイン』
こんにちは。馬込巣立です。
今回の記事はダイレクトマーケティングです。
紹介するのは『スピーシーズドメイン』という漫画作品となります。
元々は「今度のブログは明るい記事を書こう」って決めてたんですね。前回と前々回がギスギスしてたので。
で、仕事帰りに最新刊を買って帰宅後一気に読んだ勢いでこの記事を書いているのですが、これ以外に日常であった良かった事が「冷えたお~いお茶が美味い」とかその程度だったので二十日間かけてこれしか書けませんでした。本当に幸福の密度が薄い。
この漫画、個人的にはわたモテやかぐや様と同レベルで好きな作品なのですが知名度がイマイチなようで悲しいやら優越感を覚えるやら。
人によってはこの画像だけ知っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
因みにこれはまとめサイトなどでは「こんな理論が実際に成り立つわけないだろ」という批判的なスレッドで紹介されている事が多いのですが、実は漫画の中で「どうしてそんな滅茶苦茶な理論が成立しているのか」が前もってちゃんと説明されています。
つまりこの画像だけ抜き出して「作者は馬鹿なのか?」と言っている人は作品のアンチか雑誌から入ってネタにしようとしただけの人です。真に受けないようにしてください。
ていうか攻撃防がれてる人が既に「前提がもう」ってツッコミ入れてますからね。
それで肝心の内容について説明していきます。
何となく表紙で察する方も多いかと思いますが、こちらの作品は「現代日本にエルフやドワーフがいる世界観の物語」となっています。
厳密には種族として確立しているというのとは少し違いますかね。チェンジリングという形態で異世界の異種族が人間の子供の代わりに生まれる、という現象が生じる世界観です。
そして表紙を見てお察しの通りメインヒロインはセンター飾ってる黒髪エルフの女の子で、主人公は表紙にいないけれどもさっきの画像で謎理論繰り広げてた男の子です。
ただ、めんどくsネタバレになるかもしれないので詳しいキャラクター紹介はしません。
気になる方はマンガクロスかニコニコ静画での無料公開部分を参照してください。「何故謎理論が成立するのか」は多分有料コンテンツなので公開されてるか怪しいですが、主要登場人物の把握はそちらで間に合うかと思われます。
因みに私のクソスペックノートPCだと画像の読み込みにハンパねぇ時間かかるのでネットで読むなら真っ当な早さのハードで読みましょう。もしくは漫画喫茶行きましょう。
で、内容に関してですが本当に誰にでもオススメできるくらい漫画としてめちゃくちゃ面白いんですよ。
具体的な話をすると、まずこの漫画の面白さは「設定の面白さ」ではありません。
「キャラクター造形」と「物語設計」、この二点が異常に強いんです。つまり純粋に創作物としてのクオリティが極めて高い。
亜人ヒロインと科学大好き少年の日常、というのも面白さはあるんですけどそれら設定の役割はあくまでもスパイスであり、メインは彼らのやり取りの中に集約されているんです。
例えばヒロインである黒髪エルフの風森さんは、主人公である科学大好き少年の大機君に「エルフだからって魔法が使えるわけないだろ」と魔法の存在を全否定されます。
しかし彼女は「エルフが持つ神秘的なイメージに現実で生きる自分自身を重ねようとしている」というパーソナリティを有するが故に彼の主張を受け入れられず、それでいて現実的に魔法が使えない自分に幼少期から苦悩しているというキャラ付けがされています。要するに後に引けないまま成長しちゃった残念な子です。
そんな彼女の前で謎理論を実現して「これは魔法ではなく科学の力だ」と豪語するのが大機君。
コイツは状況に応じてわけわからん発明品を量産する言わばブレーキのぶっ壊れたドラえもんとでも呼ぶべき男でして、基本的に序盤は周囲の人々が「それ絶対科学じゃねえわ」と彼の発明と奇行にドン引きしながら進みます。話がある程度進んでもちょいちょいドン引きします。
それで気付いた方もいるかもしれませんが、この時点で風森さんのエルフ設定と大機君の科学者設定が物語のギミックでしかなくなっているんですよ。
風森さんはエルフだけど魔法が使えない。
大機君は色々作れるけど性格に難がある。
つまり外的属性(種族、技術)よりも内的属性(コンプレックス、問題行動)の方が前面に出ているわけですね。
もちろん大機君の発明は物語の進行に大いに貢献します。
特にちょっと話が進むとKeterクラスオブジェクトとしか言いようのない存在を作った挙句そこらへんに放置するという冷静に考えるとヤバい事もやってたりします。
でもそれだって単体で見れば本当に話を盛り上げる要因に過ぎず、方向性を定めるのは常に登場人物です。
「いやそんな設定に引っ張られずに話を作るなんて当たり前やん」と思われるかもしれませんが、これって下手な人が真似すると「エルフの風森さんが魔法の力に目覚める」とか「大機君の科学力を狙って悪の組織が暗躍する」という手垢のついたありきたりな流れに繋がりかねないんですよ。
でもこの漫画はそういう方向ではなく、「魔法が使えないエルフと謎理論を実現する科学馬鹿な人間」を中心とした現代日本を舞台としたはちゃめちゃ学園ラブコメディ群像劇を描く事に徹しているんです。
はっきり言いますが、この方針から逸れていたら今頃打ち切られてたんじゃないかとさえ思いますよこの漫画。そのくらい舵取りが絶妙な作品なんです。
そして趣旨から逸れないが故にぶっ飛んだ設定を盛り込みながらも、ラブコメに関しては一切おふざけなしです。
主人公達が割と控えめなのに対して周囲にいる友人達のラブコメは読んでてもんどりうつくらいに尊いので、そういうのが好きな人には是非読んで頂きたい。
ちょっと序盤で出てこないキャラの話になりますけど、私は紅川君と長渡さんという二人が最推しです。一言で言い表すならこいつらはデブ(中身はイケメン)とゲラ(純情)のコンビなのですが、まぁやり取りが全体的に尊い事尊い事。気になるなら読め。
さて、ここまで大絶賛ばかりしてきたのでファンとして批判的な意見も述べられるだけ述べてみます。
やはり作品のダイマとはいえある程度の平等性は保ちたいですからね。悪いところを自主的に述べ、その上で全てを愛するのがジイジが言ってた『同じものを見て、聞くことのできる真のファン』だよ。
まずこの作品、登場人物が目立つ目立たない問わず多い割に個々のキャラクターの名前が下に表示されたりとかしないので非常に憶えづらいです。
さっき私は「紅川君と長渡さんという二人が最推しです」と書きましたが、長渡さんの名前をしっかりと憶えられたのは彼女が登場してから結構な時間が経過した頃でした。
マジで彼女が紅川君に気があるっぽい素振りを見せるまで「よう出るなこのモブ」くらいの認識しかありませんでしたからね。それが今では再推しになってるんですから個人的には俺ガイルの一色いろは以来のダークホースだったりするんですが。
公式のTwitterアカウントのどっかからクラスの一覧表が確認できるとかいう情報もありますけど「そんなん用意するより新キャラ登場する度に下にテロップ置いてくれ」と私なんかは思います。
次に、上にもちょっと書きましたが割と危険な発明する割に周囲は世界に対する影響力に無関心な場面がちょいちょい見受けられます。
詳しくはネタバレになるので書けませんが、やろうと思えば地球を滅ぼせるようなとんでもない存在やら局所的ながらも無限のエネルギー源やらがこの作品では定期的に発明されます。まあ流石にポンポン作るわけではないのですが、軍事利用したら既定の人類史がひっくり返るような発明である事に変わりありません。
あまり指摘しても重箱の隅をつつくような話になりそうですけれどね。でも、うん、ごめんやっぱネタバレするわ音無森さんは危険も危険だろ! サラッと流されてたけど地球規模のヤンデレだぞあの人!
はい。じゃあ軽くネタバレした辺りで今回の記事は終わりにしましょうか。
正直そろそろアニメ化企画進行して良いレベルの作品だと思ってますんで、この記事を読んだあなたも是非書店でお買い求めください。そして少しでもこの作品がアニメ化する可能性を高くするのです。
売り上げさえありゃあなあ! 素人が書いたしょーもねえ小説だってアニメ化す(ry
それでは、また。