不在の巣

なろうで小説を書かせてもらっている馬込巣立のブログです

【閲覧注意】オススメゆ虐小説5作品

 皆さん、お久しぶりです。一ヵ月以上ぶりのブログ記事がこんなんで申し訳ないんですが、ここ最近では身内の死以外に語るべき事も特に無かったので今回はニッチな話を好き勝手やっていこうと思います。

 

 まず言っておきますと今回紹介しますのは内容的にも描写的にもエグい話が多いので、そういう話が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

 

 

f:id:magomesudachi:20200804183412j:plain


 

 で、「ゆっくりとは」「ゆ虐とは」などの疑問点につきましては下記のURLを参照いただきたく。説明すると尋常でなく長くなるのでここではこういった形式で省略させていただきます。

 

 

ニコニコ大百科ゆっくりしていってね!!!」

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%86%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AD%21%21%21

 

同じくニコニコ大百科「ゆっくり虐待」

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%86%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E8%99%90%E5%BE%85

 

 

 では、ここまでで述べた忠告と「ゆっくり」「ゆ虐」についての概要をある程度認識したという前提で今回の記事を書いていきたいと思います。

 

 

◆ゆ虐との出会い

 

 まず私が何故ゆ虐に興味を示したかを簡潔に説明していきます。興味ないという方は愚地独歩の画像があるところまで下降してください。

 きっかけは上に示しましたニコニコ大百科の「ゆっくり虐待」の記事を偶然閲覧した事でした。それまで私は「ゆっくりというキャラクターをいたぶって遊ぶ悪趣味な創作界隈」としか捉えていなかったので、想像以上に世界観がしっかり構築されている事に驚愕したものです。

 一応申し上げておくと「悪趣味な創作」という前の印象も決して的外れではありません。ゆっくりが酷い目に遭うという点は多くの場合共通しているので。

 そして世界観の完成度に唸って試しに有名な小説や漫画をいくつか読んでいった結果、奥深さにハマったというのが現状ですね。

 

 と、本当に簡潔に経緯を述べましたので、以下に今回の記事の趣旨であるオススメゆ虐小説5作品を提示していこうかと思います。

 

 あとこれはもしこういったジャンルに不慣れながらも興味があってここまで記事を読み進めたという人に向けた意見となりますので、良ければ見ておいて欲しいです。

 まず基本的にゆ虐に限らず虐待系の趣味・嗜好は内容の過激さから忌避されやすい傾向にあります。ブログでこんな記事書いてる私が言っても説得力に欠けるかもしれませんが、多くの人の目に触れる場所でこういった話をするのはやめましょう。界隈の内外双方にとって不利益に繋がります。

 それとニッチジャンルの特徴としてそういった趣味を隠している人もいると思いますので、もし身内などからこういったジャンルを好む人が見つかっても頭から否定するのはやめてあげてください。隠しているという事は隠すべきという判断が働いている事でもあります。それを見つけた人間が相手に伝えるべきは嗜好の悪辣さなどではなく、より上手い隠し方です。

 

 と、まあ色々言ってきましたがそろそろ趣旨に入りましょう。

 

f:id:magomesudachi:20181223155734j:plain

 

 

◆「副工場長れいむの末路」

 

https://www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4387.html

 

 まずは正統派な虐待から。

 人間の手によるゆっくり虐待は主に「幻想郷」「田舎」「都会」の三種類に舞台が区分されるのですが、これは都会でのゆ虐となります。まあタイトルから察せますが。

 

 内容としては工場で理不尽な仕打ちを受けながらも日々を過ごしてきたとある工場の作業員が、自分達を虚仮にしてきたゆっくりとその飼い主である工場長に復讐を果たすという物語になっています。

 この作品には復讐譚として非常に完成された爽快感が内在しているんですよ。何と言っても主人公の容赦の無さが素晴らしい。

 基本的に私は倫理観や罪悪感に苛まれる形で復讐を中途半端なところでやめたり、あるいは実行するに至っても綺麗事に縋りつく物語ってあまり好きじゃないんですよ。やるなら徹底せねば見ていてすっきりしないので。

 そういう点で見ればこの「副工場長れいむの末路」は相手の生命を、権限を、これまで味わってきた全ての幸福を見事に貶めた最高品質の復讐を描いています。

 

 私が普段小説を書くために使っているなろうでも復讐譚が流行った時期はありましたが、やっぱりゆ虐を知っているとスカッとジャパン程度の復讐に見えてきてしまいますね。まあなろうでゆ虐レベルの復讐したらR-18Gコースまっしぐらなのでそれはそれだとも思いますが。

 

 

◆「ヒヨドリの幸せ」

 

https://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/2698.html

 

 こちらも都会を舞台としたゆ虐小説です。が、上に紹介した「副工場長れいむの末路」と比べると読後感はあまりよろしくないかもしれません。

 では何故この小説を紹介するのかというと、これって虐待が主題ではなく「全てを救おうとしても無理」という教訓を含んだ話なんですよ。

 

 ある男が飼っていたゆっくりれいむが「野良のゆっくりは飼いゆっくりである自分のように恵まれていない」「そんなのがいるなんてかわいそうだ」「だから救ってあげてほしい」と飼い主に縋る、という話。

 本編の結末がどうなるかは伏せるとして、私から言わせてもらえればこの飼われているれいむはわかりづらい形でのゲス(自分さえ良ければ何を犠牲にしても構わないという考えのゆっくりを指す言葉)だったんだと思います。

 というのもこのれいむは「自分と違って恵まれないゆっくりがいると思うと自分が辛いから飼い主に頼る」という個体なんですよ。この時こいつは飼い主にどれほどの負担がかかるかを一切考慮してないんです。

 つまりこの物語に登場するれいむの言い分をまとめると「私は恵まれてるからその幸せを与える役割をこなす飼い主は自分の仲間も恵まれた環境に置け。因みに“仲間”の定義は私と同じゆっくりである事だ。何もできないなら家を出る、それでお前が寂しがろうと私は知らん」というものになります。糞野郎じゃねえか。

 なのでまあ、正直私はあの結末を見ても「この飼い主の男はもうちょっと頭使って生きた方が良いと思う」という印象が一番強かったですね。

 

 それで何故この作品をオススメしたかというと、先に述べたように「全てを救おうとしても無理」という教訓をデフォルメしてわかりやすく描写した物語だからなんですよ。テーマをわかりやすく伝えるという意味では非常に完成度の高い話です。

 不平等を割り切ってる人が読めば「そらそうなるわ」となり、割り切れない人が読めば「そんなんなってしまうのか」となる話なので、多分宗教とかやってる人が読むと良いんじゃなかろうか(投げっぱなし)。

 

 

◆「おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!」

 

http://yukkuriss-library.blog.jp/archives/1009062310.html

 

 こちらは割と有名な方、カルマあきさんが書かれたゆ虐小説です。またもや都会が舞台な話となります。というか今回紹介するのは都会を舞台とした話か、ゆっくりの群れを主題とした話しかないので田舎の人がゆっくりをどうこうするという話はありません。

 ちょっと脱線しますけど、私は田舎が舞台のゆ虐小説ってあまり好きではないんですよ。大体「畑を荒らすゆっくりを殺す」という流ればかりで、虐待方法はともかくとして流れにバリエーションが無いので。

 

 さてこちらも飼われているゆっくりの話。内容はおちびちゃん(=ゆっくりの子供)を欲しがった飼いゆっくりが子供を作り、散々甘やかしまくった結果酷い目に遭うという物語です。

 これ自体はゆ虐の世界ではありふれたテンプレ展開なんですけど、この小説から伝わってくるテーマは「子供を甘やかしてはいけない」とかそういう話ではないんですよ。

 

 最後まで読んだ人ならわかると思いますが、この物語は「我が子を甘やかす親」という存在を通して「人生は楽じゃない」「しかし努力を怠って快楽を求めていても快楽はより遠のいてしまう」という世の厳しさを伝える内容になっているんです。

 割とこの作者さんの作風はそういったテーマのものが多く、言ってしまえば作品ごとに面白さの当たり外れはあれど大体伝えるべきものは安定して伝わってきます。

 

 さてこの作品の本編について。

 言ってしまえばこれも「ヒヨドリの幸せ」と同じく飼い主があまり有能ではなかったというパターンに該当します。ゆ虐に慣れてる人ならわかると思いますが、ゆっくりに穏便な方法で人間の正当性を理解させるというのがまず無理なので。

 それでこの話はどんどん子煩悩な馬鹿二匹がずるずると泥沼に沈んでいくような構成になっており、底に辿り着いた辺りでようやく「あ、泥沼だこれ」と気付くわけです。

 

 この作品最大の見所は馬鹿共が泥沼の底に触れる瞬間ではなく、沈む過程にあってもまだ「ここは泥沼じゃない」と主張し続ける滑稽さと醜悪さだと思います。

 非常に残酷な話をするとこれってゆっくりという架空のキャラクターだけでなく、現実の人間にも当てはまる部分があるんですよね。ブラック企業勤めで辞めるべきと友人などに言われても仕事を続ける社会人などが好例です。

 つまり「逃げ道があるのに大変な環境に身を置き続ける」という選択肢は幸福を人生の主題とした場合、変則的な形式での怠惰になってしまうんですよ。それをこの物語に登場するゆっくり夫婦は理解していなかった。一生懸命教育している親、という幻想を自分達に見続けてしまったわけです。

 

 まあ作者さんが本当にそういう事を伝えたかったのかは本人と話した事ないんで全部推測ですけどね。

 私はそう感じた、という話でした。

 

 

◆「家族のあいどる末っ子れいみゅ!」

 

https://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/526.html

 

 さて4つ目にご紹介しますのは、森の中にあるゆっくりの群れを舞台とした物語。こちらはこちらでゆっくりの親子が主役となります。

 先に忠告しておくと今回紹介する中で個人的に一番エグい話だと思っていますので、そこは読む際に踏まえておいてもらえれば。

 

 話は群れの長を務めるゆっくりぱちゅりーが、とあるれいむに「おちびちゃんをたくさん産みなさい」と言うところから始まります。それを聞きいれたれいむが番となったまりさとの間に子供を産むわけですが、末っ子のれいむが足りないゆ(言わばゆっくりの障害児)で夫役のまりさや他の子供達が微妙な顔になるんですね。

 で、母親のれいむは「そんな差別するのは良くない」と言うんですが結果的に彼女の行動は障害児である末っ子を極端に甘やかす方向に集中してしまいます。

 そこから悲劇に繋がっていく、というのが物語の主な流れです。

 

 もうこの時点で嫌な雰囲気が漂っているかと思いますが、私はこの作品を非常に高く評価しています。

 

 というのもこの話の主題って、多分ですけど“狂気”なんですよ。地の文がまるで絵本の読み聞かせみたいな文体なのも相まって、末っ子の気味悪さが際立っている。その中で母親のれいむはその末っ子こそを特別可愛がっている。

 端的に言って主人公は「一般的な感性において気持ち悪いとされる親子」なわけです。

 そんな気持ち悪い親子によって周囲が迷惑を被り、結局最後には……という話。

 

 何というか、読んでいる最中私は正しい形でこの親子に嫌悪感を抱けていたと思います。これを読んで不快感を覚えるという方が自分以外にも一定の割合でいるのだとも。

 

 ではちょっと考えてみましょうか。

 その嫌悪感は現実にも適用され得るものか?

 

 例えば電車の中で微笑みながらブツブツと車掌の真似事を口ずさむ人を見てあなたは幸福を得られるのか。嫌悪感を抱かないと誰よりも自分の精神に向けて言い切れるのか。

 これは障害者差別を助長させようという意図は一切なく、単に綺麗な言葉を抜きにして本音で言います。私はそういう人を見ると目を逸らして口にはしないまでも内心で「うるせえな黙れ」と思うんですよ。障害者相手だろうと健常者相手だろうと同じ事やってりゃ同じくそう思うのでこれは差別になりませんね! やったあ!

 

 このゆ虐小説が持つ真の狂気はそこなんですよ。

 地の文では末っ子の異常性に関する具体的な描写はしても、末っ子れいみゅを貶めるような言葉は一切書かれていません。最後まで機械的に、事実だけを伝え続けます。

 つまりそこに生じる嫌悪感は100%読者の内部から生じたものという事です。さて、あなたはこの小説を読んで最後まで家族のあいどる末っ子れいみゅをかわいいと思えるでしょうか? 私は初っ端の時点で無理でした。

 

 まあ私が感想として抱いたのは「異端に対する嫌悪感は倫理・道徳でどうなるもんでもねえんだな」ってなところです。別に嫌悪感を抱かずにいられるならそれが一番なんでしょうけど、社会じゃ厳しかろうなあ……。

 それと「嫌悪感を抱かずにいられる者同士はどのような関係を築けるか」も物語終盤で描かれています。全てがああなるわけじゃないとは思いますが、一例としてまあああいう展開もあるのかなあ、と。

 

 

◆「ゲスとでいぶのあったか家族」

 

https://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3156.html

 

 最後にご紹介しますのはこちら。またも群れの中での親子を主軸とした話です。

 先に言っておきますと、ちゃぶ台返しみたいになってしまって恐縮なのですが主要キャラが酷い目に遭いません。これは今回紹介した中で唯一コミカルな話となっています。

 

 内容は有能なゲスと無能なでいぶ(肥え太ったれいむ種のゆっくりを指す言葉)が子供を数匹作り、そいつらが群れの中で暮らしていくというものです。

 これはネタバレというほどでもないので結末に触れてしまうと、子供達が親元から自立するまでの過程を描いています。肝心な部分は伏せますが、本当にこの終わり方は綺麗で尚且つゆ虐と呼ぶには平穏な結末でした。

 

 なので爽快感とは別に「アホだなあ」「ひでぇ奴だな」という面白おかしい気持ちで読み終える事ができるのですが、その上でこれは初心者向けとは言えない作品でもあります。

 だってここまで紹介してきた4作品みたいなのがどちらかというと多数派に属するんですよ、ゆ虐って。そりゃ普通に可愛いキャラクターとしてのゆっくりを愛でる方専門の人とかもいますけどね。

 加えて「じゃあこの作品はゆっくりが良い思いをする話なのか」というとそれも違います。真っ当なクズから生まれた子供が真っ当にクソみたいな教育を受けるものの結果的に真っ当に育つという話です。言わばギャグです。別に微笑ましい話でもない。

 

 なのでゆ虐を知らずにこの記事を読み進めてきた人はこれを読むなら最低でも上記4作品を読み終えてからにすると良いでしょう。多分その頃にはこっち側にどっぷり浸かってる状態でしょうし。

 

 

◆終わりに

 

 基本的に私は加虐嗜好があるというわけではありません。そもそもただ対象を痛めつけるだけという作風の作品は、ゆ虐の中であろうと何であろうとあまり高く評価していないんです。

 

 私にとって最大の評価点は作者が何を物語に込めたかです。

 

 なのでカタルシス、教訓、面白おかしさなどを含んだ作品をここまで紹介してきました。まだまだオススメのゆ虐小説はあったんですが5作品まででやめときます。キリが無いので。

 ここまでニッチな趣味の記事を読んでくださってありがとうございました。ゆ虐は漫画や同人ゲームなどもありますので、興味がありましたら調べてみても良いかもしれません。

 それではまた次の記事でお会いしましょう。