不在の巣

なろうで小説を書かせてもらっている馬込巣立のブログです

好きなSCP-JP ベスト5

 皆さんこんにちは、馬込巣立です。

 10月に入りすっかり涼しくなった最近ですがいかがお過ごしでしょうか?

 

 私は誕生日を迎えてとうとう30歳になりました。

 でも30の誕生日って迎えてみると味気ないというか、そんな絶望を覚えるようなものじゃありませんね。

 とりあえず「30まで童貞でいれば魔法使いになれる」というのは都市伝説でした。20歳の誕生日に紫鏡で自殺し損ね(まあ暇つぶしに携帯電話いじってたら忘れた状態のまま0時過ぎてたんですけど)トミノの地獄を朗読してもピンピンしていた(まあ途中途中で噛んでたんですけど)私が言うんだから間違いありません。

 

 それでですね、前回の最後で「次は明るい内容の記事にしたいなあ」とか書いたんですけど身近になんも明るい出来事がありませんでした。

 なので今日はバリバリ趣味の記事を書いていく所存です。この記事だって某VTuberさんの動画をBGMにしながら書いてますからね。小説執筆も放棄して今日は趣味のために費やすと決めました。

 

 では今回どういった記事を書いていくかっていうと。

 

 タイトルの通り、「好きなSCP-JPベスト5」を発表しようかと思います。

 

 

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 まず「SCPって何?」という疑問が浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。

 ただそれを説明し始めると記事の長さがえらいことになるので、以下のWikiをご確認いただくか簡単な説明をしている動画などを探してみてください。この記事は基本的に『読者さんがSCPについて一定の知識を持っている』という前提で書き進めます。

 

ja.wikipedia.org

 

 ではご紹介していきましょう。先に申し上げておきますと、マジで好き勝手な説明の仕方をするので「最初は収容プロトコルから」みたいな定型も今回ガン無視していくつもりでいます。

 

 まずは第5位から。

 

 

 

 

 

第5位

SCP-1039-JP もうやめてあげて

scp-jp.wikidot.com

 

 

 

 当該ページに飛ぶとホラーっぽい画像があるため、最初私は「怖い系のオブジェクトなのかな」と思ったんですね。実際には違ったわけですが。

 

 こいつが何なのかというと、一言で片付けるなら異常な動画投稿サイトです。

 オブジェクトクラスはEuclid。恐らく異常な内容の動画が今も投稿され続けているからでしょう。

 

 中身としてはオ◯ニーするスキュラとかムカデとおっさんのおせっせとか普通の性癖しか持ち合わせていない人にとってわけわからん内容の猥褻動画群が多数投稿されています。

 また有料コンテンツによって金稼ぎもしているっぽいんですね。まあ払った金は虚空に消えてるっぽいというのが財団の予測ではあるのですが。

 

 因みにDクラス職員100名にこのサイトを閲覧させたところ58名がサイト内の動画に好意的な反応を示し、対して残りの42名は不快感を露わにしたそうです。

 

 この結果を受けて財団の中では

 

「まあ58人くらいなら出てもおかしくなくね?」

 

 という声も出ました。しかし主任研究員の橘博士は

 

「こんなもんありがたがるようなド変態が全体の58%もいるわけねえだろ」

「絶対に異常性があるわだって動画の内容やべーもん」

 

 みたいな態度でいるようです。

 

 この時点でお察しの通り、SCP-1039-JPを担当している橘博士は異常性癖に対する理解とかそういうのを特に持ち合わせていません。

 

 そんな彼ですが情報機動部隊りゃ-800“検閲”によってサイトを封鎖。財団の専用アーカイブ内にその全てを封じ込めました。異常性癖者の皆さんかわいそう。

 更にはそのサイトに登録していたアカウント作成者を特定し、一人ずつ捕まえてインタビューしています。

 

 このインタビューの内容を読めば大体の方向性がわかるかと思いますが、こちらでも簡単に説明しましょう。

 

 橘博士がSCP-1039-JPでアカウント作った人に話を聞き出そうとするわけですよ。

 で、内容をコンパクトにまとめるとこんな風になります。

 

 

「サイトに辿り着き登録した経緯はどういったものでしたか?」

「あなたのアカウント内で保存していたタグとそれの履歴についてお話を聞かせてください」

SM、触手、アニメ声、非人型、単眼とは何ですか?」

「これらのタグをどういった考えで保存していたのですか?」

「なぜ謝るんですか?」

 

 

 鬼畜極まる。しかもこれアカウント作成者全員にやって全員に同じ反応を示されたっつってますからね博士。

 何よりも酷いことに、彼らの個人情報を特定して履歴や保存してあるタグについて精査して本人にインタビューするって流れが収容プロトコルで規定されてるんですよ。

 財団の調査能力と年季入った拉致監禁技術に一般人が勝てるわけないだろ! 変態に優しくねえなあ!

 

 ここまで説明すればメタタイトルに込められたメッセージも見えてくるでしょう。

 皆さんも他人の性癖に対してはあまり追求しないようにしてあげてください。

 

 では次のSCP-JPに行きますね。

 

 

 

 

 

第4位

SCP-2415-JP 生(きていく)ゴミ

scp-jp.wikidot.com

 

 

 

 これが何かというと、喋るゴミ袋(中身満杯)の集団です。何?

 オブジェクトクラスはSafe。そらゴミ袋が喋ったところでとは思いますけれども。

 

 出オチみてぇなSCPではありますが、彼らには二つの特筆すべき欲求があります。

 

 一つは生命体として持ち合わせていて当然の生存欲求。生き続けたいと願うからこそ、彼らはゴミ処理場から脱出したという過去を持っているのです。

 しかしそれに反するかのようにもう一つ存在するのが処理願望。燃えるゴミである彼らは火を見ると衝動的にその中へと飛び込み、自らを焼却処分しようとします。

 

 この二つの相対的な欲求について本人(というか本ゴミ)達はこう言っているそうです。

 

「ゴミとして出された以上、処理されなければいけないが、他者によって勝手に決められた運命に従いたくはない」(原文ママ

 

 何?

 

 そして彼らの中にはSCP-2415-JP-A(以下、ボス)と呼ばれる個体が一つ存在し、その個体に限っては自身を処理したいという欲求に対する強い抵抗力を有しているのだそうな。

 逆に言うとそれ以外の個体は生きるか処理されるかの絶対的二択に対して懊悩する様子を見せており、更には中のゴミが腐ってくるにつれて情緒不安定になっていくそうです。

 

 そんな彼らですが、財団によって確保・収容・保護されている最中とある大きな事故に巻き込まれます。

 というのも収容サイトにおいて大規模な収容違反が発生し、それに伴って発生した火災を前にした彼らは次々と炎に身を投じていったんですね。

 

 仲間達が次々と自己終了していく中、ボスは「やめろ!」と必死に声をかけながら彼らを止めようとしました。

 しかし多勢に無勢、ボスは仲間の一人(ていうか一ゴミ)を庇った際に火で体の一部を溶かしてしまいます。

 

 溶けたボスの体から出てきたもの。

 それは野菜くずや丸められたティッシュペーパーではなく、プラスチックゴミでした。

 

 

モブゴミ袋「ボス……俺達を騙してたんすか……」

 

 

 不燃の存在であるプラスチックゴミ。それがボスの正体であり、炎に身を投じようとしないままでいられる理由だったのです。

 可燃ゴミ達は彼に対して不信感、あるいは裏切られたという感覚から嫌悪感を示し始めました。

 

 しかしそこでボスが語るんですよ。以下は本記事でボスが他のゴミに向けて遺した言葉をまんまコピペしたものとなります。

 

 

確かに、最初は戸惑った……俺以外のやつらはみんな燃えたがってて、俺だけだった、みんなを止められるのは……せっかく自由を手に入れたのにすぐ燃やされるなんてもったいない、なんて言ったがあれはその場しのぎの、とっさに思いついたものだった……他のやつらが同調してなけりゃ、俺たちはもうとっくに燃やされてた……

 

俺は別に自由なんてどうでもよくて、生きていくことすらどうでもよかった……だけど、お前らがいたから、俺は、お前たちのために生きていこうと思った……生きていたい、そう望むお前らがあまりにまぶしくて……

 

不思議だよな、生きていることがどうでもよかった俺が、お前らと一緒にいると楽しくて、生きていることが楽しかったんだ。生きててよかった、そう思えたんだ。[せき込むような音を立てる]

 

最期にこれだけは言わせてくれ。俺は、プラスチックゴミで、お前ら生ゴミとは違う。生きたいとも思えなかった、そんな冷たいゴミだ。だが、俺は変わった。生きたいと思えるようになった。体はプラスチックゴミのままだが、心は違う。俺は、お前たちと同じ、生ゴミに、いや、生きたいと願うことのできる、生(せい)ゴミになれたんだ。これは……お前たちのおかげだ。本当にありがとう……

 

 

 生ゴミ達への感謝を示し、彼は内容物のほぼ全てをこぼして絶命しました。

 ボスの言葉を受けたからか、その大火災の中で彼が死んで以降は自主的に炎の中へと飛び込むゴミが出なくなったそうです。

 

 残されたゴミ袋は、彼の死を見届けてからこんなことを言っていました。

 

……部屋に戻りましょう……私たちは、生きないと。ボスのためにも。

……ああ、そうだな。戻ろう。生きよう。みんなで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SCP-2415-JP『生きていくゴミ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 まあ、はい。そんな感じのSCPでした。

 では次行きましょうか。

 

 

 

 

 

第3位

SCP-1899-JP ア・バオ・ア・クー

scp-jp.wikidot.com

 

 

 

 ここまで悪ふざけの権化みたいなオブジェクトばっかり紹介してきました。しかしここからご紹介する3つは全部真面目なSCPばかりです。

 のっけからふざけてきた私が言うのもアレですが切り替えてください。

 

 こいつが何かというと美術館に存在する螺旋階段及びそこに存在していると思われる人型実態です。

 オブジェクトクラスはSafe。何もしなければ何も起こらないからでしょう。

 途中部分から登り始めても何も起きないのですが、始点となる場所から登ると異常性を発揮します。

 最初からずっと登っていくと、最後にあるはずの行き止まりがなく先に続く階段及びそれが収まっている謎空間が生じます。その空間の長さは美術館の体積を無視するかのような距離(3000m)と言われており、明らかな空間異常までやらかしているのがわかりますね。

 

 そしてそこを登っていくことで、登る本人の中に不思議な高揚感や社会的に望ましい方向への性格の変化、精神疾患の改善などが発生します。

 事実として財団のDクラス職員としてこの階段を登らされたサイコパスが「悪い部分を全て洗われたよう」と形容しているくらいですから、相当な効き目があるのでしょう。どっかの居酒屋チェーンのあいつとか登らせようぜ。

 

 なので多分ですけど調子に乗ってDクラス職員を送り込みまくったんでしょうかね。

 そんな中で送り込んだDクラスが体ごと消失するという事態が発生しました。

 性格を改善できないレベルのクズだったのでしょうか?

 

 事案発生時に録音されていた音声ファイルによって、ある程度の事情が見えてきます。

 

 当該Dクラス職員(以下、当該者)の口ぶりから察するに、まず録音では聞こえない声から「生まれ変わりたいか?」と問いかけられるようです。

 それを受けた当該者、納得した様子を見せつつ「ヤダよ畜生。なんでテメエが決めんだよ」と一蹴。階段を登り続けます。

 

 そこから10分後、急に叫んだかと思うと激しい勢いで階段を進み、己の生い立ちを説明します。その人生を悔いる様子まで見せて「ここからも今からも自分からも逃げたい」「生きる価値なんてない」と自虐的な言葉を口にし続けていきます。

 途中、「黙れよ」「この飲んだくれ野郎が」といった言葉も出てきているため、継続して話しかけられていく中で相手のパーソナリティについても触れている可能性が高いと見受けられるでしょう。当該者は相当疲労している様子で、時折叫ぶ中でも息切れは途絶えないようでした。

 階段を駆け登る中、「はは、ビビってんだろ、誰が食わせてやるか」という言葉も出てきます。つまりその謎の存在は相手のパーソナリティの一部を捕食している可能性が高いということになりますね。

 ではサイコパスが更生した理由は何かとなった時に(社会的に)悪い部分をその存在に食べられたと見るのが自然でしょう。

 

 それから2時間、階段を進み続けていった先で当該者はまた話し始めます。かかった時間を見るにずっとその何かから話を聞かされていたらしいことが予測されますね。

 謎の存在が向けた何かしらの言葉に対し、当該者は共感を示しつつも「でも、でもよお、それはダメだろ。背負いこまなくちゃいけねえだろ」「テメエが生きてきたことをテメエがダメだっつったらダメだろ」と全否定。逆に酷い人生送ってきてその答えに達してるのすげぇな。

 

 消える直前、当該者は財団の博士達に向けて忠告します。しかしノイズが走ってしまい具体的に何を伝えたいのかがいまいち聞こえなかったようで、最終的にわかったことは咀嚼音と嘔吐音が記録に残されていたというだけです。

 

 この結果を受けた財団はこれまでにこの階段を登ったDクラス職員達にインタビューを試みたものの、嘘をつけない状態においても当該者が話していた相手と思しき存在とは出会っていないとだけ解答されたようです。つまり「そんなのとは会ってない」と。

 またこの事案から、SCP-1899-JPにおいて酒と吐瀉物の臭いが発生するようになったとも記載されています。

 

 この事案にて音声ファイルを回収した際、一緒に回収した画像ファイルも一部修復できたそうで。

 その画像は本記事にて確認していただきたいのですが、見ての通り人間っぽい何かがいるんですよね。

 

 そして後日。

 先に紹介したサイコパスの人ですが、またサイコパスに戻った上に抑うつ症状とアルコール依存症に類似した症状が併発したそうです。再度SCP-1889-JPへの侵入を強く希望しているらしく、口調も一度敬語で話すようになってたのが粗暴なものに戻ってしまっていました。

 

 彼曰く「自分の悪い部分、過去を食ってもらったけど吐き戻されてしまった」とのこと。

 ここまでの流れから「SCP-1889-JPは始点から階段を登り始めた人間の反社会的性質を吸収し更生させる異常性がある」「更生した人間は以前のあれこれを忘却して実質的には違う人間となる」という事実が見えてきます。

 しかし同時に「捕食したものを吐き出してしまうと更生した人間に更生できていないパーソナリティが取り戻されて著しい混乱とストレスを与えてしまう」という異常性まで発揮してしまうため、人型実体の調子が悪くなると悪夢みたいな事態が引き起こされるってことでもあるわけですね。

 

 さて、SCP-JPについて知識を持っている方々は以上の概要から察しているかもしれません。

 飲んだくれ、忘却、そして過去。

 この3つのフレーズから見えてくる、とある要注意団体が存在します。

 

 それが酩酊街と呼ばれる酒浸りの異常存在達です。

 

 彼らに関する情報をざっくり説明すると、酒に溺れて忘れられゆく過去に浸り続ける者達であり、同時に他の要注意団体と比べてどこか優しく切ないSCPオブジェクトを生み出し続ける集団でもあります。

 

 先程の更生したのに再びサイコパスな自分のパーソナリティと向き合う羽目になってしまったDクラス職員が所持していた端末に謎の文章が記載されていたのですが、そこにも酩酊街の名前がありました。

 

 文面を読む限りSCP-1889-JPは直接的に酩酊街に属する存在ではなく、飲み屋で関係者と出会い彼らの思想に沿った動きをしているらしいことが判明しました。

 どうやら元は単なる人食いだったのが「人の悪い部分を食べる」存在となったためにこのような形を成したようです。

 

 優しいは優しいものの、根本的な解決、前を向いて歩いていく力にはなれない。

 そんな酩酊街の影響を受けた存在として、象徴的なオブジェクトだったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

第2位

SCP-2072-JP 私刑

scp-jp.wikidot.com

 

 第2位はこちら。モノとしては暴行を加えられた痕跡が痛々しく残る、腹部が異常に膨張した少女の凍死体です。この時点でエグい!

 オブジェクトクラスはEuclid。理由は後述します。

 が、このオブジェクトクラス認定は財団が財団だからEuclidに決めただけで実質的にはSafeでも良さそうなSCPです。

 

 まず一つ目の異常性として、絶対的な破壊耐性を有しています。

 SCP-2072-JPについて知らず、その一方でSCPあるあるに詳しい人は「また破壊耐性ですかwww」くらいのノリでいるかもしれません。しかしこの破壊耐性という要素が後々になってボディブローの如く響いてくるのでもう少しお待ち下さい。

 

 二つ目に挙げられるのが胎内に存在する4体の人型実体。オブジェクトクラスがEuclidな理由はコイツらが原因であると見て間違いないでしょう。

 この4体、頭部を除いて妊娠15週程度の胎児に相当する体を持っています。そんなわけわからん生き物がですね、子宮口に密集しているようなんですね。つまり外に出ようとしていると。

 更には栄養補給器官を持ち合わせつつも栄養補給をしないまま活動し続けているということで、要するに不死身じゃね? ってな結論にも繋がるんです。

 これが下手したらヤバいやつなんじゃないかってんでEuclid認定されたわけですよ。

 

 オブジェクトの異常性はこれで終わりです。シンプルぅ〜。

 しかしあと一つだけ追加情報があります。それは少女を殺害した犯行グループについて

 

 加害者と思われているのは宮島 通(当時16歳)他3名。合計4名。

 彼らは事件直後に失踪しており現在も財団によって行方を調査されています。

 

 

 

 はい、カンのいい皆様ならもうおわかりでしょう。

 

 少女に暴行を加えて殺害した悪童4人ですが、首から下が胎児になった状態で死体の胎内にて大絶賛監禁中という状態です。

 しかもオブジェクトの異常性によって栄養補給がない状態のまま生命活動を持続させられています。死なないつっても逆に言えば食事という人生において重要な娯楽が一切遮断されているってことです。

 ていうか胎内に娯楽の要素なんてあるわきゃないですからね。寝て夢見る以外に救いがない。

 

 彼らが子宮口に向けて密集しているというのも脱出したいがためなのでしょう。しかし頭部は16歳相当のままなので、母体となる死体を切開しなければ外には出られません。

 

 そこで皆さん、思い出して下さい。

 この死体は破壊耐性を持っているという事実を。

 更に言えばこの死体を回収したのが確保・収容・保護を理念としているSCP財団であるということを。

 

 つまるところ何かの手違いで財団の理念から離れたところに死体が移動し、何かの手違いで破壊耐性を突破する衝撃を受ければワンチャン死ねるってくらいしか宮島くん達に救いはないんです。

 

 そんなSCP-2072-JPの収容プロトコルMRI機能を有した人型異常存在収容ケースに保管した状態でじっと監視を続ける」というもの。

 彼らが集団暴行殺人事件という凶行に及んだのは2011年12月11日。つまり逃れられない牢獄でいつ訪れるかもわからない死を待ち続けるしかない日々を、およそ9年近く過ごしてきているわけですね。スッゴイカワイソ。メタタイトルが『私刑』というのも、いやはや何とも示唆的なもので。

 

 個人的にはこの直接書かれていない事実にスッと辿り着けるというスムーズな発想の誘導が鮮やかで、素晴らしい記事だと思っています。だから第2位。

 

 というわけで、いよいよ最後、1位の紹介に入りたいと思います。

 

 

 

 

 

第1位

SCP-587-JP 死体に非ず

scp-jp.wikidot.com

 

 第1位はこちら。コイツが何かって言うと、とある島にて不定期に発生する身元不明の死体群です。気づいたら誰とも知れない死体が転がってる地域とかスゲー嫌だな。

 オブジェクトクラスはSafe。このオブジェクトクラスがまた、もう素晴らしくて素晴らしくて。理由は後述します。

 

 で、このオブジェクトなんですが基本的な情報は上に述べたものでほとんど全てです。強いて付け足すなら死体が発生する瞬間までは誰にも観測されない点、死因は多種多様だがどれも他殺によるものというところでしょうか。

 そして、だからこそ私はJPの中でコイツが一番好きなんです。

 

 概要がシンプルだからいい、という話でもありません。具体的な説明をしていきましょう。

 とはいえこれもまとめればかなりシンプルな話になってしまうんですけどね。

 

 とある田舎の島にて急に謎の死体が発見されました。で、島民達はこれを海に不法投棄しました。

 なんでかっつーと「みんなが家族みたいな状態で暮らしている平和な島で殺人事件があっただなんて考えたくもなかったから」だそうです。田舎社会で実際にありそう。アローラ!

 

 思考停止したままでいられるようにとやらかした島の連中ですが、このSCPは死体単体で完結するものではありません。不定期に死体が発生するという現象こそが本体なのですから。

 二度目の死体が出てきたことで恐怖が再発し、一度隠蔽したという過去もあって本土に通報するなどの手段もとれずまたもや島民達の手によって死体が処理されます。

 

 三度目に死体が出たことにより、いよいよ我慢できなくなった若者がいました。彼は「本土に報告するぜ!」と正義感を振りかざします。

 そんなもの放置できるはずもなく、島民の多くが罪を暴露されることを恐れどうにかせねばと考えました。

 

 結果彼らは若者と、息子に何かあれば容赦しないであろう父親までもを殺害したのです。

 そしてそれを察知した駐在さんも次いで殺されました。

 

 最初に死体を隠蔽した後ろめたさ、直接的な殺人事件にまで発展させた罪悪感、思考停止を求める精神の脆弱性、離島という閉鎖された空間。

 それらが引き起こす疑心暗鬼は三人の死によって止まることなく、結果的に島民は本土の人間が現地に到着するまでの間に17名が死んでしまいました。

 

 凄惨な事件を生き残った島民達も財団の手によって記憶処理が施され、島の外にて暮らしている状態です。かつてみんなが家族のように仲良く過ごしていた島は今、私有地名義による封鎖と情報の改竄によって誰も立ち入れない状態となりました。

 

 このオブジェクトの真価は「ただ死体が不定期に出てくるだけ」というところでしょう。

 つまり死体を見た人間が疑心暗鬼に陥るだとかそういう話ではなく、純粋に各々の疑心暗鬼によって殺し合いが発生したということです。

 

 これがねぇ……いやホント、凄まじくえげつなくて好き。

 最小限の異常性で最大限の悲劇を呼び込む、とんでもないオブジェクトだと思います。コイツSafeですからね。だって何もしてないから。

 一度はEuclidと疑われたものの結局はSafeに落ち着いて、それでも博士に「このオブジェクトクラス格下げ、嬉しくねぇ〜!」と言われた在り様には脱帽するばかりです。

 

 確かこれの作者さん、あの殿堂入りJPとして知られるSCP-444-JP  █████[アクセス不許可]lokerさんなんですよね。そりゃエグいし面白いはずだ……。

 

 

 

 

 

 以上、馬込巣立が好きなSCP-JPベスト5でした。

 とはいえ正直言うと好きなSCPの順位ってその時々によって変わることがままあるため、これが絶対不変の順位とは言い切れません。他にも魅力的な記事がたくさんありますからね。何なら一時期は「Keterが一番好きです!」と豪語していた時代もありました。

 

 しかしまあ、SCPの情報をまとめて紹介するのってこんなに大変だったんですね。解説動画とか作ってる人達は大変だ。

 

 ひとまずこれをもってして10月分のブログ記事とし、投稿させていただきます。

 これを読んでSCPに興味を持ったあなたは是非とも他の記事も読んでみてください。JP以外も楽しい異常存在がわんさかいますから。

 

 それでは、今回はここまで。