アニメ感想文『回復術士のやり直し 第2話』
皆さんこんにちは。馬込巣立です。
前回の記事に引き続きアニメ『回復術士のやり直し』の感想を書いていきたいと思います。
あれからTwitterとかで調べてみても賛否両論というか否の比率が他のアニメより多い気がするくらいで、やっぱ嫌われてるんですねこの作品。まあ一般向けじゃないジャンルな上に構成も不出来極まるので無理もありませんが。
そんなわけで第2話です。早くも「とっとと終わらねえかなこの駄作」くらいは思ってきていますが、正当な評価をするため頑張って視聴していきたいと思います。
やはり主に悪い意味で有名なのもあってか『痛いのは嫌なので防御力に極振りします』の感想記事を書いていた頃と比べ、それなり多くのコメントが寄せられました。
私のような無名なろう作家のブログですら読者さんからの反応がこれだけあるということはまあ相応に注目されているアニメでもあるのかなと。以前話題にした通りめっちゃ燃えてくれれば助かるんですけどね。
さて、それでは感想を書いていきましょう。
因みに動画はこちらです
◆概要
《回復》による代償を理由に勇者としての役割を放棄しようとするケヤル。しかし王女フレアは彼に薬を盛って牢獄に囚え、部下による拷問と陵辱を繰り返します。
しかし二周目なのもあってそれすら織り込み済みのケヤルは辛い時間を過ごしながらも半年間耐え続け、薬物耐性スキルの熟練度向上に伴って復讐の実行を果たすのでした。
まあそんな感じの内容なわけですが、先に結論を言ってしまうと今回もアニメスタッフによるシュールストレミングに白ワインぶっかけるが如き努力の痕跡が見えて痛ましい話でしたね。
◆良かった部分
★ケヤルが覚醒するシーンの演出
牢獄に監禁され薬漬けにされたケヤルが意識を取り戻すシーンですが、こちらの演出がかなり凝ったものとなっていました。
まず薬漬けになったケヤルがフレアに「薬をくれ」と懇願し、
嫌悪感からフレアが薬の瓶を振りかざし
それをケヤルの顔面に投げつけ
破片が散らばって
落ちた破片一つ一つにケヤルの瞳が映り
それらを見つめているうちに
自我を取り戻す。
この一連の流れが演出としてとても美しかった。
やはりアニメスタッフも駄作という評価を極力避けたいのか気合い入った作りを心がけているようです。この後の緑色に輝く翡翠眼が画面の切り替わりとともに月と重なる演出も見事でした。
★渋谷彩乃さんの演技力
フレアが指をへし折られる時の悲鳴、これが素晴らしく高いクオリティでアウトプットされていました。声優さんの演技に関しては本物と言っていいでしょう。
なんというかこんなのが初主演ってのも勿体ない声優さんだなあとしみじみ思ってしまいましたね。
◆悪かった部分
すみません、良かったところ演出と声優さんだけでした。いやまあ「話そのものはクソ」って覚悟はしてたんですけども。コミカライズ版で予習してきたのもあって原作の流れはある程度知ってますし。
では触れていきましょうか。
★またしても無意味なやり直し要素
マジで薬漬けになってまで監禁されるところをやり直す意味がねえ。
回復する度に人生を追体験するってんなら1周目の世界で癒やした連中の顔ぶれくらい記憶に残ってるでしょうし(そうでなくても翡翠眼がある)、別にわざわざ拷問とかされなくても「代償はキツいけど回復役としてがんばります!」みたいな演技しながらどんどん他の人らを回復していけば錬金術でも何でも手に入ったはずなんですよ。
なんで自分から拷問とレイプされに行ったのこのバカは。
まあこれに関しては既に消えてしまって久しい(一般サイコパスさんのものとは別の)某レビュー動画で言われてた通り、「ケヤルがドMの変態だったから」で説明がつくっちゃつくんですけどね。
じゃあもっとドM変態ムーブ見せてくれないとわかんねーよ。元の村でアンナさん相手に犬の真似とかしてろよ。
★復讐とは無関係なモブを殺した
基本的に復讐譚というものは「主人公に許されざる真似をしでかした相手への報復」が主な見どころとなるんですが、今回映像を見る限りケヤルって復讐対象外なはずの女騎士二人を殺害しちゃってるんですよね。
いやもうこれに関しては他の人にとってあまり目立ってない部分なのかもしれませんが、復讐がテーマとなる物語の主人公としてはタブーに近い行為だと思います。だってこれでもう主人公も復讐対象と大差ないクズに成り下がったわけですからね。
しかも地下牢でケヤルにあれこれやってる騎士の中にこいつらと同じ髪型の女いなかったはずなので、あの二人に関して言えば本当に巻き込まれる形で殺されただけです。ひたすらかわいそう。
★軽々しく指治してるのは何なんだ
ケヤルがフレアに復讐する際、彼女の指を一本ずつ折っては回復して最初から折り直すというシーンがあるんですがそれお前も指が折れるところ追体験して痛いだろって思っちゃって集中できないんですよね。
でも特にケヤルが痛がってる様子ないですし、流石にもうアニメスタッフもそこまで演出する前に気力が失せたのか何なのか。いやまあ細かいところっちゃそうなんですけど。
★延々映され続ける暖炉
多分これは地上波放送に合わせて編集した部分なんでしょうけど、具体的な復讐シーンで暖炉の絵を垂れ流すだけっていう場面があるんです。
これで本当にただ暖炉だけを映して終わりならそういう演出として見ていられたかもしれません。しかし合間合間に「ここは映してもOK」と判断したのかケヤルとフレアのやり取りが挿し込まれて、これがテンポを崩す上に物語として果てしなく無駄。こんなんするくらいならいっそ最初から映さなくていい。
1話の感想でも言った気がしますけどこのアニメを地上波放送にした意味ってあります? ないでしょ。やるとしてもOVA、妥当なところならR-18作品として普通にエロアニメ制作会社に依頼すべきだったはずです。
アニメスタッフは仕事だから仕方ないにしても出版社と作者はもうちょっと頭使ってくれよ。アニメ会社と視聴者に迷惑だから。
不愉快とかでなく人生において無駄な時間だからって理由で復讐シーン飛ばしましたからね今回。本当に不出来な作品だな。
★そもそも主人公が魅力的ではない
この作品における第2の致命傷が早くも今回で明らかになった感じです。
言ってしまいますがケヤルって「理不尽な思いをしたから復讐する」という物語構成に合わないタイプの主人公なんですよ。何ならそもそも主人公に向かない。
過去に何があったとか何をされたとか関係なく、性格のクズっぷりと破綻した論理、ズレまくる行動理念に知能の低さと見る側が共感できない造形の主人公であることはまず間違いありません。
で、復讐物語の主人公に感情移入できないと復讐にカタルシスを感じられないのでこの時点で物語的な魅力は大きく損なわれます。
物語において必ずしも主人公に感情移入する必要があるかというとそうでもないんですが、復讐がテーマなら話は別です。よっぽどシナリオ構成が上手くない限り共感できない主人公の復讐は傍目にはただの暴行でしかなく、この作品はシナリオ構成が下手なので結果ただの暴行が描かれてるだけなんですよ。
それ見て何を思えばいいのかって話なんですね。別にスカッとしないし何ならムカムカするし、そういったストレスを感じながらでも得られる深いテーマ性がこの作品にあるわけでもない。
はっきり言って主人公の存在に価値がないんです。これは別の観点から異世界スマホにも言えることですが、あちらは主人公への共感を求める必要性がないだけまだマシ。
なのでこの作品を楽しめる層って本当にエロスとリョナ以外をまともに見てないんだろうなと私は思ってます。それ以外の要素を楽しもうにもこんなもん他のあらゆる作品の下位互換でしかないですし。
◆総評
まあ他にも「復讐とか言ってただヤりたいだけだろ」とか「ケヤルの偽名がケヤルガとかスクエニ舐めてんのか」とか色々言いたいことはあるんですが深堀りするだけ無駄なので省略します。
とりあえず予想通り酷かった部分と予想外にアニメスタッフが頑張ってる部分が交差してる感じで、予想外のダメージがなかっただけ現状他のクソアニメよりマシな状態です。やはり知ることは力だった……。
今後もこのアニメのクオリティなんて知れたものでしょうけど、今回ほど酷い回はしばらくないでしょう。そういう意味では先を知らない方も安心できるんじゃないでしょうか。
ああ、あと本作品の主人公ことケヤルにもなろう系アニメ恒例の〇〇太郎という称号が与えられたようですね。その名も
まあ、間違っちゃいない。
というところで今回の感想は終わりです。また次回もよろしくお願いしますね。