不在の巣

なろうで小説を書かせてもらっている馬込巣立のブログです

アニメ感想文『回復術士のやり直し 総括』

 皆さんこんにちは。馬込巣立です。

 

 12話の感想記事を書き終えたので今回の総括を以て『回復術士のやり直し』アニメ感想文を終わりとさせていただきます。良かった〜ラストに2期決定とか言ってなくて。

 

 先に申し上げておくと防振りの総括より今回の方が長くなります。時間に余裕がある休日にでも読んでください。

 

 

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◆大体の総評

 

「金取れる内容じゃねえな」が最終的な評価となります。アニメの円盤や原作書籍に金払うくらいならその分の金を普段の食費に足して高い肉でも買って食った方が有意義。

 言うてこういう結論になるのこのブログ読んでた皆さんなら察してたかと思いますし、私もどうせ駄作という評価に落ち着くだろうなと前々から覚悟はしていました。

 

 とりあえず記事を進めていきましょう。まずは良かったところから。

 

 

 

◆良かった部分

 

演出の妙

 

 度々感想記事の中でも触れてきましたが、演出に焦点を絞って見るとトップクラスのクオリティであると言えます。これは本当に誇れるレベルなので手掛けたスタッフさんには今後の躍進を期待したいところですね。

 

 強く印象に残っているのは3話前半のキャラクターごとに違う色の薔薇を映してそれぞれの個性を強めていた演出でしょうか。あの描写によって場面場面の切り替えがスムーズに行われていたと思います。

 

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 ここに限らず他にも様々な演出が魅力的なアニメでした。

 

 

 

声優陣の演技力

 

 以前私は2話の感想でフレア役を演じている渋谷彩乃さんの演技力を高く評価しました。

 そして3話ではブレッド役を務める稲田徹さんの怪演にも触れています。

 

 

 

 

 

 実のところ他の声優さんも結構凄い演技をしてくれていたんですよ。

 

 特にケヤル/ケヤルガ役の保住有哉さんは最終回で「わざとセリフを棒読みする」という難しい演技もこなしていました。正直最初の頃は微妙に違和感あったんですけど、今や岡本信彦さんのそれに近いガラの悪さをあらゆる角度で再現できる貴重な人材となりつつあるように思えますね。

 

 

 

◆悪かった部分

 

 えー、はい。作品そのものに関する「全体に通ずる良さ」みたいなものはありませんでした。ファンの方が見てたら怒るでしょうけどどうせその人らもどこが面白いか具体的な話できねーだろうしいいや。

 じゃあ悪かったところ触れていきましょうか。

 

 その前にまずこれだけ言っておきたいという点を一つ。

 以前防振り感想記事の総括を書いた際に出てきた「防振りの悪かった部分」は大まかに分けて3つだったんですね。

 

magomesudachi.hatenadiary.jp

 

 で、それに対して今回書く『回復術士のやり直し』の悪かった部分は同じように大まかに分けても8つとなっております。

 なので結構長い記事になるんですよ。それだけ先に認識いただければと。

 

 では触れていきましょう。

 

設定の扱いが雑

 

 このアニメを評価する上で悪いところの半分近くがここに集約されます。

 

 具体例として他の方も触れているような目立つところを挙げると

 

「復讐なんて実質終わってるようなものなのにやり直す必要性がない」

「回復する度に相手の人生を追体験するという設定が活かされていない」

 

 という点がこれに該当しますし、あまり言及する人がいなかったような目立たないところを挙げるなら

 

犯罪都市ラナリッタが言うほど犯罪都市してない」

「剣聖クレハがどこでケヤルガの顔を知ったのか判然としない」

 

 も含まれます。

 

 真っ当な創作であればそこらへんちゃんと決めてから話を進めるでしょうし、これで金もらってるようなプロなら複数人で複数回の推敲を重ねるはずなので私みたいな素人がすぐに指摘できるような破綻や矛盾って生じないはずなんですよ。

 つーかそんなん考えるまでもなく話作ってて「ここで【回復】するんだったら追体験現象が生じないのおかしいな」ってならなきゃおかしいじゃないですか。

 

 つまるところまともに考えて創作されていないんですこの作品。

 私だってファンタジーガチ勢みたいに「異世界の地図をまず作れ」とまでは言いません。言いませんけど多分それ以前の基礎的な地盤固めが終わってない状態で公表されてますよねこれ。

 

 これまで書いてきた記事の中で触れたありとあらゆるクソ要素が大体この問題か次の項目のどちらかに収束するので、まずこれをどうにかしない限り商業作品として無価値なんじゃねえかなと。

 では次の項目でこれと同じくらいデカい問題点について触れていきます。

 

 

 

主人公に共感できない

 

 こちらもまた悪いところの半分近くに関わってくる要素です。

 

 この作品の主人公であるケヤル/ケヤルガですが、倫理的にも論理的にも知的にも頭おかしいので見ていて非常に強い嫌悪感を覚えるんですよ。

 前からここでの感想やツイキャス配信なんかでも複数回言ってると思いますけど「復讐を主軸とした物語で主人公に共感できない」ってマジで物語として致命傷なんです。

 

 例えば共感できるできないを問わないパターンとして、胸糞悪い系のエロ漫画なら竿役の男がどんだけ鬼畜外道でも「そういう性癖もある」で片付きます。あるいはギャグ漫画で最終的にひどい目に遭うとかならクソ野郎が主役でも笑えれば正義と言えるでしょう。

 しかしこの作品、全年齢向けのシリアスな復讐譚なわけじゃないですか。少なくとも作者さんの意図としてはそういう風に書こうとしているのがわかります(というか「違う」と言われたら逆にジャンルがわからなくなる)。

 

 で、シリアスな復讐譚の主人公が共感できないパーソナリティを有している場合どうなるかっていうと見せ場となる復讐シーンでスッキリできなくなります。

 

 理屈は簡単で、人間って大半は倫理観や道徳観というものを持っているので他者を過剰に傷つけるという行為に何らかの不快感を伴うんですね。そしてそれを正当化することによって普段得られない「加虐の快楽」を得られる、だからこそ復讐譚というジャンルにはそれなりの需要があるわけです。

 ここで大事なのは復讐行為を正当化することであり、本作の主人公であるガンギマリホモ太郎はそれに失敗しているんですよ。だって言ってる内容無茶苦茶で道理が通ってない上に狂った発言として見てもそんな面白くないでしょ。

 

 じゃあ復讐行為の正当化をうまくできなかった結果そこに何があるのかというとクソ野郎がクソ女を犯したり同じクソ野郎を殺したりしてるだけなんです。

 はっきり言いますけどこっちは復讐を主軸としたファンタジー作品を見に来たんであって汚らしい動物番組に興味無いんです。そこを履き違えないでもらいたい。

 

 

 

とっ散らかってる目的意識

 

 話が進むと段々ケヤルガの目的意識が「三人への復讐」から「好き放題に女を犯してムカつく奴を殺す」にシフトしていくんですが、ここでのシフトがスムーズでもなんでもないせいで結局何がしたいのかわからなくなっています。

 

 例えば復讐という第一段階から徐々に人生を謳歌する第二段階へと移行していくならまだ飲み込めるんです。でもコイツ最初に挙げた復讐という目的を好き勝手するという目的と一緒に出したり引っ込めたりするんですよ。

 しかも途中から魔王の存在まで出てきて余計にやるべきこととやりたいことがあっちこっちに増えていって物語的に無計画極まる。

 

 しかも最悪なのがなまじ「三人の勇者への復讐」という目的が物語の収束手段としてきっちりしているせいでそれ以外の目的が話として面白みに欠けています。

 

 最終的な目的として「この三人を倒せば復讐が達成される」って項目が存在してたらもうそれを主軸としない限り何を出しても物語上のノイズにしかならないでしょ。途中で復讐対象増やしたりしても蛇足にしかなりゃしません。

 だからこそせめてアニメ放送圏内ではブレット倒して終わらせるべきだったのですがそうできなかったのは純粋に話の構造が下手だからなんでしょうね。

 

 

 

何なら復讐譚である必要性すらない

 

 根本的な話となりますが「あいつらのやってる事が許せねえ!」という動機で戦いを挑む構図じゃダメだったんですか?

 主人公を復讐者として設定して無駄にそれを徹底しようとした結果、動きが常に後手後手に回る上に定期的に間に合わないっていう間抜けぶりを披露しちゃってますよね。恐らくそれを少しでも解消しようとした結果があの当たり屋ムーブなんでしょうけれども。

 

 復讐を主軸とした物語であるならそうしなければならない土台を整えないと話になりません。で、案の定このアニメは話として破綻しています。

 じゃあ結局何がしたかったのかというと、考えられるのは一つ。

 

 

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 要するにこれでしょ?(因みにめだかボックスはまともな倫理観の根付いた作品なのでこれ言ってる奴は敵キャラです)

 

 何というか主人公がそれやっちゃうと三下感バリバリになって萎えるんですよね。別にやるだけなら構いませんけどアニメ化して放送枠一つ潰すのは迷惑なので控えてもらいたかった。

 

 

 

基本設定のせいで緊張感がないし疑問も増える

 

 この作品は主人公が世界を巻き戻して人生をやり直すという基本設定の下に成立しています。

 つまり何か不都合が起きてもまたやり直せばいいだけとも言えるんです。

 

 そういう理由もあってか作中で何が起きようとも「いやどうせやり直せるじゃん」という意識があって盛り上がりに欠けるし、逆に不都合な結末を前に嘆く主人公を見て「なんでやり直さねえの?」という疑問も生じてしまうんですね。

 

 これも使いようによっては充分面白い要素になり得るもののケヤルガがやり直さないせいで「いつでも人生やり直せますよ」という世界のギミックがちゃんと機能していません。

 緊張感に欠けるからそうしない、というのであればそもそもやり直した必要性が無い話なんですからやり直さなければ良かったでしょって結論に落ち着くんですよ。

 

 なのでこのシステムを上手く活用できていない時点でこの話は面白くなりようがないと思うんですよね。

 

 

 

随所に見える小学生並みのセンス

 

 これは特に深く言及するような点でもないんですが没入感を妨げるという意味ではかなり邪魔な要素だったのでここで触れます。

 

「回復術士は、〇〇する!」系のダサいサブタイトル登場人物のセリフから垣間見える語彙力の乏しさなんかがそれに当たりますね。

 一応あんだけ性的描写をぶち込んでる作品なわけですからターゲット層は18歳以上を目指してもらいたかったんですよ。「自分を良い人だと言い続ければ良い人になれるんだ」とか諭すように言われるとバカにされてる気分になるので。

 

 シリアス要素多めの作風で稚拙な言葉選びされるとそっちに意識を割かれるのでイラッとするんですよね、私の場合。

 

 

 

濡れ場の存在

 

 これは原作の問題ではなくアニメ作品としての致命傷です。もっと言うなら地上波放送アニメ作品としてやっちゃならない事に手を出しています。

 一応言っておくと「地上波でお色気描写を入れるな」って話じゃないんですよ。

 

 この作品、割ときっちりエロいシーン入れてるので地上波放送とニコニコ動画での無料配信に際して規制が入っているんです。

 で、「局部を黒い靄で隠す」とかならまだしも暖炉やら噴水やらを延々映してるだけのシーンとかがあって、これが本当に最低最悪。

 

 何が問題かというと「見ていても情報が入ってこない状態でアニメの尺を埋めている」ってのがダメなんです。

 

 当たり前の話、アニメを見る上で視聴者が何を求めているかっていうと娯楽なわけじゃないですか。でもこのアニメ、地上波放送でありながら地上波では見せられないシーンを入れた結果見ていて何も面白くない状態を作り出してしまっているんです。

「じゃあOVAでやれ」って話になるじゃないですか、普通に考えれば。何のための地上波放送だと。

 

 

 正直これに関しては関係者全員が悪い。

 

 

 地上波に流されているアニメで作品から娯楽要素を抜いて虚無だけ残したって普通に悪行ですからね。まだ同時期に放送されていたクソアニメの「俺だけ入れる隠しダンジョン」の方が見せたい部分を見せているだけ誠実ですよ。

 

 

 

原作者のTwitter

 

 なんかアニメが放送されてた時期に原作者の月夜涙さんがTwitterであれこれ解説(という名の言い訳)をしていたようなんですが、はっきり言って私からしてみればその行動自体がアニメスタッフに対して喧嘩を売ってるようなものだと思います。説明を付け足すってことは「あれだけじゃわからないでしょ」って言ってるようなもんですからね。

 外野での出来事なのでアニメそのもののクオリティとは無関係ですが、仮に作者のアカウントをフォローしてからアニメ見てた人がそんなん見たら「今更言うなよ」ってげんなりしてもおかしくありません。一度出した以上その皿に載ってる料理は客のものなんですから、後から来て醤油とか胡椒とかかけないでもらいたい。

 

 なんか書籍1巻のあとがきで別レーベルで出してる自作品の宣伝をしたとか他にも色々悪評を見聞きする人ではあるんですが、今の時代「作者がどうあれ作品の良し悪しとは別」って判断する人の方が少ないんですからちゃんと考えて動いてくれないものかと思います。

 

 

 

◆キャラクター別の感想

 

 ここからはメインキャラクター一人一人に対する感想となります。名前の順番はWikipedia準拠です。

 

 

ケヤル/ケヤルガ

 

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▲ガンギマリホモ太郎

 

 復讐者とは名ばかりの当たり屋として数多くの人々に迷惑をかけまくり、持ち前の破綻した論理展開と知性・社交性の欠落によって被害を拡大しつつ他人に責任転嫁しまくる自己愛と自己承認欲求の塊。

 防振りのメイプルのような作者の意図に操られる被害者というわけではなく、己の所業を正当化しながら性犯罪と殺戮を楽しむ言わば生粋の加害者。それが彼です。

 

 当たり前の話ですが本人の頭が悪いせいで自己正当化に失敗しているため、客観的に見ればただのクズでしかありません。

 

 率直に言って魅力的ではないキャラクターなので主人公よりもやられ役の方が似合っているタイプではありますね。そういう位置づけなら活躍の場もあったかもしれないのですが。

 

 あと無意味に過去に戻って薬漬けになってまでケツを掘られに行ったせいでガンギマリホモ太郎という呼び名がアニメ視聴者の間で定着しています。

 すげぇセンスのあだ名だ……考えた人この駄作よりよっぽど面白いな……。

 

 

 

フレア/フレイア

 

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▲主人公全肯定型ヒューマノイドTE◯GA

 

 メイン復讐対象の一人であり書籍や漫画版の1巻表紙を飾っていることから多分メインヒロイン。

 しかしてその実態は前半でヘイトを集めるだけ集めた後は散々に犯され、人格改変された挙句にケヤルガを肯定するだけの存在と化したお人形。コイツのセリフから漂う気持ち悪さは恐らく不気味の谷現象の親戚だと思われます。

 

 この手の全肯定ヒロインって個人的に気持ち悪くて好きになれないんですが、多分そういうの好きな人でも肝心の肯定する対象がアレなので「そりゃねえわ」と冷めるんじゃないでしょうか。

 

 正直コイツをメインヒロインに据えるくらいなら1話に出てきた精霊を連れてった方がまだ面白いと思うんですけどね。

 

 

 

セツナ

 

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▲色々と惜しいけど惜しいまま終わったキャラ

 

「家族を殺され奴隷として売られた」というある意味で(その情報が開示された段階の)ケヤルガよりもハードな境遇にいて、復讐者としての心の在り様も通ずるところがあったため場合によってはメインヒロイン張れる程度のポテンシャルを持ったヒロインでした。

 が、復讐を果たしてからケヤルガに身も心も捧げてしまったため今となってはフレイアと同じ主人公を持ち上げて股を開く性奴隷に成り下がった哀れな南極3号に過ぎません。

 

 この立ち位置でこの性格ならやりようによっては普通に魅力的なヒロインになれたはずなのですが、まあこうなっちゃったもんは仕方ないですね。

 今後はラフタリアの成り損ねとして余生を過ごしていくしかないんでしょう。かわいそう。

 

 

 

クレハ

 

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▲会話が成立しないやべー女

 

 よくわからない経緯でケヤルガの人相と居場所を突き止めて襲撃し、亜人に対して差別的な社会に生まれ育ちながら差別への否定的意見を持ち、その思想を権力者でもなんでもないケヤルガにぶつけるという割と作中でも屈指の危険人物。未だにどうやって個人の特定に至ったのかわからないから怖い。

 剣聖やら貴族やらと身分に固執する割に勇者ってだけの平民相手でも「殺しそうになった償いとして」という事務的且つ傲慢な理由で寝る真性のクソビッチでもあります。

 

 ラナリッタで一度別れてから最終回にちょっとだけ再登場しましたが、正直物語的にはいらない人材でもあるのが悲しいところですね。いや私はこんなんリアルにいたら知り合いにすらなりたくないので一生出てこない方がありがたいんですけれども。

 

 

 

ノルン

 

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▲「異常者」という看板を持たされただけの無能

 

 全体的に性格悪い子供でしかなかったアホ。マジで感想としてはそれだけに近い存在です。

 強いて付け加えるならば服装も含めてキャラデザは作中登場人物の中でも一番好きってくらいでしょうか。この用途不明のマントだかケープだかわからん装飾いいですよね。洗脳されてから外れたけど。

 

 これでコイツ自身にも規格外の戦闘能力があったりしたらまだ面白くなったと思うものの、まあそんな展開にしたら作者の操縦技術が追いつかなくなるからダメか。残念。

 

 

 

イヴ

 

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▲こちらのわずかな期待を叩き潰し諦観を呼ぶ存在

 

 数少ないケヤルガに否定的な感情や意見を表すヒロイン……だったはずなのですが、途中から特に理由もなくケヤルガに惚れているらしい描写が入るわ不要なエロシーンを更に冗長化するわでこちらの淡い期待を裏切り、最終的にはちょっと喋るだけの背景みたいな存在になっていました。

 異世界スマホにおけるリーンのような役割を担うならまだ人気キャラになれる余地はあったでしょう。しかしあの主人公に惚れた上に最後はちょっとツンデレ匂わすだけの空気となってしまった以上、もう何も期待できそうにありません。

 

 なんかノルン以上に触れられる点が少ないキャラとなってしまったため、ここでも特に多くを語れないんですよね。登場したばかりの頃は割と良い動きをしていただけに「どうしてもっとキャラを掘り下げなかったのか」と悔やむばかりです。

 

 

 

ブレイド

 

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▲さらっと殺されたメイン復讐対象

 

 三人の勇者の一人という物語上かなり重要な位置にいるはずの人物でしたが、ほぼ出来レースに近い形でプロの当たり屋たるケヤルガにとっ捕まった上に11話Aパートという何も美味しくないタイミングで殺された哀れなメインキャラクターの一人。君は泣いていい。

 女の子に一服盛って送り狼して壊れるまで犯すという行為だけ見れば確かに極悪人ではあるのですが、実は肝心なケヤルへの仕打ちについては他の勇者よりまだマシだったりするので復讐のモチベーションはそこまででもなさそうというか何というか。

 

 私としては「コイツを洗脳して味方につけた方が後々有利なんじゃね?」と思ったりもしたものですがどういうわけか普通に裸の男どもをけしかけて殺してました。マジでどんな基準で相手の生死を決めてるのかよくわからない。

 とりあえず言えることとしては彼女もまたこの物語の被害者だったって事でしょうかね。

 

 

 

ブレット

 

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▲回想シーンによく出てた人

 

 扱いの悪さはブレイド以上と言えるメイン復讐対象、最後の一人。ノルンより出番が少ない。

 その性格の異常性とか諸々を鑑みるに魅力的な敵キャラとして立ちはだかる展開があれば私とてこのアニメを相当高く評価できたかもしれないのですが、残念ながら昨今のライトノベル原作アニメは原作の流れを準拠してばかりいるので彼の出番もまた原作準拠なのです。

 

 無理にでも出して稲田徹さんの怪演をもっと聞きたかった気持ちもあれど、話の内容がアレではどうにもならないかなぁと色々考えてしまう存在でした。

 

 

 

レナード

 

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▲別にいなくても話が成立する男

 

 シナリオの流れにおいて「ケヤルがコイツを殺さず罪を被せるなんて呑気な真似をしたから村が襲われた」という展開を進めるためだけに配置されたキャラです。

 ぶっちゃけ登場人物と言えるかどうかすら怪しい造形をしており、役割を果たすための歯車以上の価値が見当たらない存在でした。

 

 更にぶっちゃけた話をするなら「ノルンがケヤルの正気を見ただけで察していた」という設定がある時点でこのキャラクターが担う機能は人物の形をしている必要性さえなく、後で騒ぎを聞きつけたノルンによって村が襲撃されたという展開に必ずしもいなければならない人物とは言えません。

 またケヤルが城を脱走する際に罪を被せつつフレアに接近するため彼の姿に変装するという描写もモブの兵士で間に合いますし。

 

 なのでまあ、いてもいなくてもな存在ではありましたかね。尺稼ぎには使えたのかもしれませんけどそんなんやってる暇あるならブレット出せって話になりますし。

 

 

 

“鷹眼”トリスト・オルガン

 

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▲ぽっと出のラスボス(最終話開始から5分半で死にます)

 

 急に出てきて急に強キャラ臭醸し出してきたアニメ版において最後の敵。それが彼なんですがなんでここでブレットではなくコイツ出した?

 三英雄とかいきなり出されても普通の真っ当な視聴者はこのアニメの基本設定を見て「三人の勇者への復讐」を期待するはずですよね。そこから外れる意味あるのかという疑問が尽きない。

 

 しかも後出しジャンケンめいた神装武具の能力で呆気なく死ぬし。確かコミカライズ版では死ぬ間際に「お見事……!」的な、相手の力量を高く評価するセリフとかあったと記憶しているのですがそれもアニメではなくなってましたね。

 初対面の時の挙動と声以外にラスボスとしての意味も貫禄もないというか、やるにしてももうちょっときっちり戦闘描写をしてもらいたかったです。

 

 

 

アンナ

 

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▲本物の被害者

 

 被害者ムーブしてばかりで実質加害者のケヤル及びケヤルガとは異なり、純粋な被害者として散った存在がこの人でした。何ならこの人が死んだ件に関してはケヤルガも間接的な加害者という有様。本当に救いようがねぇな。

 彼女の死に際は本当に美しく描かれており、気持ち作画のクオリティも普段より増してました。

 

 ただ一つ引っかかるのがやはりケヤルとの思い出みたいな回想が一切入ってこず、具体的にどういう生活を彼とともに過ごしてきたのかが明確になっていない点ですね。何せこの人に育てられたケヤルの現状がアレなので「本当にまともな教育してたのかな」と思ってしまう。

 

嘘だけはつくんじゃないよ

騙されても仕返しはするな

 

少しのズルがあとに響くぞ

みっともないことすんな

 

一時の感情に任せ

ものに当たり散らして壊すな

 

忘れたくないことからたくさん

窮屈になっていくぞ

 

www.youtube.com

 

 教育はちゃんと、しよう!

 ともあれ彼女が次に転生する先がもっとまともな作品である事を祈るばかりです。

 

 

 

カルマン

 

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▲上等なインスタントフレンド

 

 急に出来たケヤルガの友達。でも多分向こうはビジネスライクな付き合いとしか思ってねえと思うわ。商人ってそういうもんだし。

 彼が殺されたことでケヤルガがブチギレるという描写が入るものの、見てるこっちとしては「いやコイツが生き残っててもどうせお前ヤることヤッたよね?」としか思わないのでここでの必要性はあまり感じられないのが悲しいところ。

 

 当たり屋に復讐の口実を作るためだけに生み出されたのだとしたらもったいねえキャラだなあと溜息が出てしまいます。かなりいいキャラしてたのに。

 後でケヤルガ一行と一緒に旅に出るとかしてくれれば良かったんですけどね。まあそういう話にできるなら彼が登場するまでに見てきた設定の破綻もなかったんでしょうけど。

 

 

 

◆まとめ

 

 いやあ、文句なしに駄作でしたね!

 

 恐らくツッコミどころとか話の質とか不快感で言えば同時期に放送されていた『俺だけ入れる隠しダンジョン』の方が酷かったんでしょうけど(私は見ていないのであれこれ言うのは控えます)、この作品に関してはちょっとした事情もあって全力で感想を述べる必要を感じていたものですから。全部感想を述べられて安心しましたよ。

 もしこれで2期とかあったとしてももう見ないでしょう。何ならクソアニメの感想文なんてもんはこれで終わりにしたい気分です。リクエストでもされれば応じるかもしれませんが、はてさて。

 

 全体を通して見て感想まで書き殴った上で再度改めてこの『回復術士のやり直し』というアニメへの印象を述べると「こんなもん二度とやるな」という一言に全ての思いが詰め込まれる感じがしますね。マジで関わった全員にとって時間の無駄なので。

 

 まあ、そんなわけで長々と続いた『回復術士のやり直し』アニメ感想文もこれにて終わりと相成ります。

 今後はまた徒然に書きたいことを見つけ次第記事を投稿する形式になるでしょう。元は普通の雑多な日記代わりとして始めた当ブログですが、多分これからはなろう関係のニュースとかを取り上げるのが主目的となるかもしれません。

 

 私自身、このアニメの感想を書いてる間にあった動画削除の件とかについて本当は記事書こうかどうか悩んでたりしましたしね。機会があればそれについて触れることもあるでしょう。

 

 では改めまして、今回で『回復術士のやり直し』アニメ感想文は終了。

 またこれからも思いつきで記事を書いていく所存ですので、なろう関係で何か気になる話題を振ってくれれば内容次第で記事にすることもあるかもしれません。

 

 良ければまた次の記事でお会いしましょう。