不在の巣

なろうで小説を書かせてもらっている馬込巣立のブログです

DX3サンプルシナリオ集「ムーンレスナイト」を読んでみて

 皆さんこんにちは。そしてお久しぶりです。馬込巣立です。

 前回の記事で「次は明るい話で記事書くかぁ」みたいなこと言ってたんですけどここ最近なんも良い事がなかったので何も書けませんでした。地獄。せめて休日は休みたい。

 

 なので今回は趣味であるTRPG、具体的には最近読んだDX3のシナリオ集ムーンレスナイトの感想でも書いていこうかなと思いこの記事の作成に踏み切った次第です。

 完全に趣味に突っ走った内容な上に公式シナリオのネタバレをバンバンしていくので、未読のDX3プレイヤーの方はご注意ください。あとTRPG知らない方には楽しみづらい内容となっていますので、そこも承知していただければ。

 

 

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 因みにこのムーンレスナイト、紙の方の書籍は絶版となっているそうです。私は電子書籍で購入したわけですがいやはや便利な時代ですわ。

 じゃあこっからジャンジャカ内容について触れていくのでよろしくお願いします。

 

 

 

◆基本設定

 

 まずこのムーンレスナイトのシナリオについて申し上げますと、全3話のキャンペーンでありながら遊びようによっては個別でもシナリオを楽しめるという作りなのだそうです。

 物語というものは変幻自在なのでこれは素晴らしい措置だと感心しました。例えば第1話だけオリジナルのシナリオで回して残り2話をこちらから引っ張ってくるとか、そういう動きも可能なわけですからね。

 パーソナリティの中には誰かが出番を用意しない限り本筋と無関係なまま終わるであろうNPCとかもいるので、そこを考慮して作られているのかもしれません。

 

 次いで素晴らしいなと思ったのが「PCがキャラロストした場合どうすべきか」についてPC番号順に説明入れてくれてるところです。

 DX3のGMって基本PCをキャラロストさせたくないと思うんですよ。理由は色々あるんですけど一番キツいのはDX3のキャラロストってジャーム化なので、遊びの場で遊び感覚で笑い飛ばせない悲劇が発生してしまいかねないってところだと思います。

 もちろん個人差はありますけどもね。私も「あ、これ帰ってこらんないかもしれない」と思ったらかっこよく死ぬ(ネタキャラならバカみたいに散る)ためのRP考えたりしますから。

 ただなるべく発生させない方が無難って認識もある程度共有されてると思うので、ロストした後の流れをきちんと考えてくれてるのは嬉しいですね。

 

 あと「どんな街でどんなキャラクターがいるのか」という舞台設定、それから簡単な黒幕の情報などがシナリオセクションにて開示されるわけですがN市高校の作り込みが思ったより細かい。これは褒め言葉です。

 基本ルルブにもN市のマップやパーソナリティについて触れられてはいますけど、高校の教育方針とか周辺の施設、学校内施設などの情報はこんなに詳細に書かれていなかったと記憶しています。

 

 正直ここってこんなに触れる必要ないっちゃないんですよ。ステージセッティングなんて自分で作った街の設定すらいい加減な人も多いでしょうし多分私もここまでやるかというとあまり自信はありません。

 でも細部に至るまで掘り下げるといざという時に思わぬ形で拾い上げたりするケースもあるでしょうし、そういう意味ではTRPGで遊ぶ層にとって適した設定の組み込み方なのかなと思います。

 個人的にこういう街の設定だけを6~7種類ほどまとめたサプリメント出してくれれば買うのにな、と惜しい気持ちになったりもしました。マップを自作する上でのヒントとかも載っけてくれると尚良し。

 

 

 

◆第1話「Gray Phantom」

 

 大体のステージ設定を軽く把握したところで最初のシナリオに触れましょう。

 

 この「Gray Phantom」をざっくり説明すると

 

「サブヒロインが黒幕に先導されてメインヒロインぶっ殺そうとしてるから止めてね」

「あとついでにサブヒロイン操るためのコントローラー持ってる悪者もいるからそいつも始末しといてね」

 

 って内容です。身も蓋もないけどそういう話です。

 システムのテーマが“裏切り”なのでこういう展開は王道且つ世界観に則している感じありますね。

 

 話の流れ自体に触れると海賊版みたいになってくるので今回のシナリオにおけるボスエネミー、“グレイファントム”七海弓花について語ります。

 

 まず「他者に対する過度の嫉妬心」を“闘争衝動”というゲーム内のルールに組み込んだのはなるほどと思いました。いや確かに嫉妬って闘争衝動で説明できるよなと。

 で、その衝動に飲み込まれると「嫉妬した相手に勝利すること」に強くこだわるので、これを恋愛に絡めた場合「好きな男子をあの女から奪ってやった」という感触に執着するようになるわけですね。

 

 こうなると衝動に飲み込まれながらPC①に強いこだわりを見せ続ける理由がはっきりしていて説得力も増します。加えて衝動発生装置という外部からの力も加わっているため、暴走している相手との戦闘というシチュエーションとしてはばっちりかなと。

 

 更に先の話もすると、このシナリオってクライマックス戦闘で弓花にどこまでダメージ与えたかで少しだけオチが変わるんですよ。こういう細かい部分で微妙なルート分岐を設けるのは(他のサンプルシナリオでも見ますが)個人的に好きなんですよね。

 

 ただ一つこのシナリオについて不満点があって、それが彼女を操るFHエージェントのエージェント:コントローラーってやつです。

 

 最初にデータ見た時に「そのポジで名前ないんかい!」とがっくり来てしまいました。いやまあ確かにオープニングフェイズに出てきたりもしてなかったんですけど、上級ルールブックも採用した場合こいつがEロイス持ってるんですよ。なのにモブて。

 せめてこう、PC②のオープニングとか改変できる余地あるんだからそこで演出で戦わせて因縁の相手感出すとかやりようある気はするんですが。

 実際レポートコミック読んだ限りPLの方が気遣ってこの名無しのエージェントに即興の名前つけてあげたりしていたので、やっぱ何かしらの設定は欲しかったというのが本音です。前向きに考えればこれも工夫の余地として見ることができるのかもしれませんが。

 

 

 

◆第2話「Kingdom Come

 

 次のシナリオがこちら。

 

「いけすかないチャラ男がカリスマ棒ぶん回してイキってるからしばく」

「ついでに生徒会長がかわいそうな事になってっから助けとこう」

 

 というシナリオです。格差社会に肯定的なイケメン洗脳野郎がボスキャラなのでそいつぶん殴るのが最終目標と思ってください。最強格闘技《完全獣化》で劣等NPCジャームッパリを殲滅だ。

 

 DX3のシナリオってたまに「これってPC①の高校生が参加する意味ある?」って内容になりがちなんですが、このシナリオは高校生が主軸のシナリオなので文句なしにPC①と②が光りやすい流れとなっています。本キャンペーンにおいては生徒会長ほぼヒロインですし。

 

 本シナリオで個人的に特徴的だと感じたのが情報項目の数でした。

 

 結構多いんですよ。同じ項目の中でも求められる技能が別のやつまで分割して数えると9項目もあって、下手したらダレそうなくらい。そこに至るまでのミドルフェイズも各PCに向けて4シーン使ってますし。

 ただそこはダレないようにトリガーイベントを二つ設けており、登場侵蝕のバランスも考えてミドル戦闘がありません。

 自分の中ではトリガーイベントって「Crumble Days」くらいのバランスが普通だと思っていたのですが、二つ目を用意するというのはこういうシナリオならアリなのかもしれませんね。探せば他のサンプルシナリオでも似たようなのあるんでしょうか。流し読みばっかしてきたのであまりちゃんと思い出せない。

 

 あとボスの瀬名方くんなんですけどまぁご立派なヘイト役って感じのエネミーですわ。

 特にPC①のクイックスタート“不確定な切り札”はピュアキュマイラなせいで【精神】も【社会】も低いので勉強できないのが確定しており、こういうエリート気質な相手とはいい感じに対立しそうですね。そこを計算してかどうかわかりませんが、PC①に関与するNPCが不良学生の相波武ってのも雰囲気出てます。

 

 まあ相波くんの出番そんなに多くないのが悲しいところではありますが、ぶっちゃけ彼が前に出られる場面自体限られてくるのでこれは仕方ないと割り切りましょう。

 

 

 

◆第3話「Moonless Night」

 

 全3話の最終回となります。

 

「使えねー先生が実は極悪人だった上に本体は空に浮いてる丸っこいのだった」

「倒さないと話終わんないからみんなでフクロにしたれ」

 

 っていう内容です。

 

 最後のセッションって事もあってかラスボスの“ダークムーン”が好き勝手するわけですが、N市から人がいなくなるっていうシチュはなかなか素敵。しかも演出がかっけぇの。

 イージーエフェクトとエネミーエフェクトを使ってラスボスの強キャラ感を醸し出すという点において、本シナリオは一定水準で成功しています。加えてブラム=ストーカーの従者をちゃんと戦闘データ面でも活用してくれているので、DX3のキャンペーン最終話によく見られる「ラスボスはとりあえず人外」展開のマンネリ感も薄れていると言えるでしょう。

 いやマジで多いんですよキャンペーンラスボスが非人型レネビとかEXジャーム化した無機物って展開。

 

 それと最終決戦というのもあってか各PCに向けてラスボスからのお言葉が個別に用意されてるのも特別な扱いされてていいですね。ダブルクロスつったらPCがかっこつけてなんぼなので、そこをきっちり見せ場作ってくれる辺り敵キャラとして美しい造形を持っていらっしゃる。

 

 ラスボスのエネミーとしての作りも素晴らしいのですが、エンディングにてPCが特定のNPCにロイスを取得していた場合に生じる特別なセリフなるものが存在しているのも話の〆として綺麗です。まあPC③だけちょっと寂しいことになっているのでそこは要改良ですかね。

 

 それと最終決戦の場が“学校の屋上”っていうのは個人的に少し物足りなさを覚えた点だったので、もし実際に回すならなんか適当なタワーの頂上とかオフィスビルの屋上とかに変更してシチュエーションを整えた方がいいかなとは思いました。PC全員が遠距離攻撃持ちだったらお助けNPCが操縦するヘリに乗って空中戦とかでも良いかもしれませんね。いつぞやどっかの公式リプレイでそういうのありましたし。

 

 

 

◆総評

 

 流石はプロが組んだシナリオだけあって面白そうだなと思う反面、「自分で作ったシナリオを回したい」という欲求があるせいで実際回すかどうか定かでありません。今後予定ができたとして自作シナリオの方を優先しそう。

 やっぱどうせなら全6話の大型キャンペーンをやってみたいというのがDX3のGM志望者の半分くらいが持ってる欲望だと思うので。

 

 ただこのシナリオ集のおかげでDX3に対するモチベーションが回復してきたのもあり、いつかは必ずと帯を締め直すような心持ちになりました。まず今やってる仕事を辞めない限り難しそうだけど。

 

 基本テキストセッションばっかやってるから余計に時間かかる私ですが、もし機会があれば他の方とDX3で遊びたいと常々思っております。

 

 小説書くのサボってブログ書いてたら予想以上にくたびれたので本日はここまで。最近は私生活の方でも色々と時間を取られがちなのであまり気が休まりませんわ。

 また次に何か記事にするような話があれば適当に更新しようと思っています。現場からは以上です。