アニメ感想文『回復術士のやり直し 第4話』
皆さんこんにちは。馬込巣立です。
最近は寒いとは言えども日照時間が徐々に延びてきており、春の訪れを感じさせる季節になってきましたね。とはいえ新型コロナウィルスの影響は未だ収まっていませんので不用意に外出するような真似はしないよう心がけましょう。
さて2月11日、建国記念の日に私は家で大人しく『回復術士のやり直し』アニメ版第4話を視聴していました。いやあ有意義な時間の過ごし方だなあ!
明日は朝早くから仕事だというのに限られた寿命を何に使っているのやら少し悲しい気持ちになったりしなくもありません。
動画はこちら
◆概要
奴隷として売られていた氷狼族の少女・セツナを買ったケヤルガは彼女に薬を飲ませて病気を癒やし、復讐の手伝いをする代わりに真の名を明かして本当の意味で奴隷になれと持ちかける。
先払いでの復讐を求めるセツナに応じて体を重ね彼女のレベル上げに至った一行は氷狼族の村へと移動。そこで住人達に襲撃をかけていた傭兵団を騙る王国軍と交戦し、見事勝利した。
復讐を果たしたことでセツナはケヤルガを信用し、約束通り真の名を明かす。そんな彼女を抱きながらケヤルガは次の行動に思いを馳せるのであった。
その一方、城から脱走する時に身代わりにされた近衛騎士隊長はケヤルとしての姿のまま王様からお説教を受けているところ。どうにか死刑を免れた彼は復讐心を胸に宿して笑う。
果たしてケヤルガ一行にこれからどのような事態が待ち構えているのか。
というような内容でした。
ちょっと今回ひっでぇなと頭を抱えているところです。何が酷いってツッコミどころが前回以上に多い。
ひとまず語っていきましょうか。
◆良かった部分
★アクションシーンは頑張っていた
後半の展開ではこれまでの演出力を戦闘シーンに活かしていてなかなか見応えがありました。特にケヤルガが複数の兵の首を斬り飛ばすところなんかは綺麗でしたね。
正直他の人が言うほど1話の段階では戦闘シーンに力を入れているように思わなかったのですが、今回は率直な気持ちで高く評価できる仕上がりになっていたように思います。
★セツナが毒を流すのをやめると決めたシーン
戦いが終わった後で「ラナリッタの流行り病は氷狼族が水源に魔物の死骸を入れていたから」というのが明かされるんです。まあケヤルガが以前言ってた通りの内容ですね。
で、それを見てケヤルガが「自分なら毒の代わりに薬を流すことができる」という旨の発言をしたところセツナが「関係ない人まで苦しむのはかわいそう」と言って薬を流すよう要求するんです。
もちろん後々の発言から純粋な優しさだけで発された言葉じゃないのはわかりますし後述するツッコミどころもあって「いやいやいや」なポイントでもあるのですが、ひたすら苦しい思いをしてきた少女がまだ優しさを失っていないという描写をする上で最適なシチュエーションを整えた感じがあります。こういうシンプルなのでいいんですよ、物語ってのは。
◆悪かった部分
さあこっからだ。
割と今回良かったところ必死に探しましたからね私。本当に今回、一切見どころが無かった2話とは違う方向に悪い突き抜け方してました。
とりあえず先に言うと「こんなんアニメ化しちゃってるって時点で原作者は頭使って書いてないし編集も誤字脱字の確認くらいしかしてねえんだろうな」という事情が透けて見える内容だったと言えるでしょう。
★出たり入ったりする追体験設定
ケヤルガがセツナの体調不良を回復する際、セツナのこれまでの体験を追体験する場面があるんですけどフレアの指を折るところで無かったことになったんじゃねえのかよその設定。
しかもセツナが腹に一撃喰らったところまで見えてる割に腹を押さえる動作とか一切しないし。自分で用意した設定を都合よく改変するのやめろ。作り手側が忘れても視聴者はそういうの案外全部憶えてたりするものなんだよ。
★王国軍の動きがおかしい
一応ですけど王国軍の兵士っつったら言い方変えると国家公務員みたいなものですよね。特にジオラル王国は発展した都市国家みたいですし、待遇は悪くなさそうに思えます。
そんな立場の人間が傭兵団を装って亜人拉致って奴隷商人に売るって何のメリットがあるんですか?
小遣い稼ぎするにしても軍内部で賭け事とかして済ませられるでしょ。わざわざ外部に出張って亜人拉致って、外部出張って奴隷商人に売るんですか? しかも氷狼族とかいう氷の爪っぽいの出して戦うような連中を敵に回してまで?
傭兵団に成りすますにしてもそれの相手をする奴隷商人だってやってるこた商売ですよ。王国軍の兵士を相手取っての取引とか、場合によってはトカゲの尻尾切りされるって商人ならある程度わかりますよね。
ってことは商人側がよほど頭悪いか王国軍がかなり力入れて隠蔽工作してなきゃおかしいんですが、そんなバカな商人がラナリッタとかいう犯罪都市で生き残れるとは思えませんし逆に商人騙す勢いで手間かけて身分隠すってなりゃ軍の結構上の方にバレた時のリスクが高すぎて割に合わないと思います。
仮に王国上層部も腐ってるからそこまで手間でもないって話ならそれはそれで構いません。ただそうなると商人達の間で「この国は俺ら商人相手に悪どいことしてるから離れようぜ」ってなってまともな市場が形成されなくなるのではないでしょうか。
ああ、だからそんな頭悪い商人しか残ってないんですかね。なるほど。もしもそういう設定が公式にあるのなら納得できます。
★セツナはもっとケヤルガ相手にキレていい
ケヤルガが回復術だけでは治せないセツナの病気を癒やすために薬を飲ませるシーンがあるのですが、なんか意味もなく口移しで飲ませるんですよね。
いや気持ち悪っ。
普通に起こしてから事情説明して飲ませればいいだろそこは。しかもそれで「コイツは自分を襲おうとしている」と判断してビンタかましたセツナにフレイアが「なんて酷いことをするんですか! 彼はあなたを看病してくれていたんですよ! 今だってお薬を飲ませてくれていただけです!」とか言い出すんですけど。
起き抜けにそんな奇行かまされて看病されてるなんてわかるわけねーだろバカか。ああバカだったわ。これの登場人物全員。
★フレイア一人に買い出しに行かせるシーン
ケヤルガがセツナと事に及ぶ直前、フレイアを部屋から体よく追い出すシーンで彼は彼女を買い出しに行かせるんですね。
で、以前「今殺すわけにはいかないから生かしておいてもっと苦しめる」的なこと言ってフレアを殺さずにおいたケヤルガですけど美女一人で買い出しに行かせてマジで無事に戻ってくると思ってんのかな。
あの、ちょいちょい忘れられてますけどここ犯罪都市って最初に言われてますからね。それこそ人間に敵意持ってて武器がなくても爪で戦える氷狼族なんかよりよっぽど楽に拉致れますよあんな無防備でぽやーっとした身なり良さげな美女。
事によっては復讐を果たし損ねる流れになりかねないんですが、まあ多分そこまで考えて作られてる作品じゃないってだけなんでしょう。絶望しかねえや。
★シリアスとしても下ネタとしてもつまらない未来掴み
ケヤルガとセツナが事に及ぶ際、「これはお前の未来だ。掴むか掴まずに終わるか選べ」とかケヤルガが言い出すんですけどマっジっでくだらねぇしつまらねぇ。
これがシリアスなシーンだったとしてやってること男が女にチ◯コ握らせてるだけで絵面が間抜け過ぎるし、ネタでやってるにしても実質一択の状況でヤらざるを得ない少女がクソ野郎に利用されてるせいでシンプルに胸糞悪くて何も笑えない。
どっちに転んでも低品質が保証されてて逃げ場がないんですけどコレでマジで制作サイドは金稼げると思って作ってるんですか? まあんなわけないんでしょうけど。
何が酷いってこれはアニメ本編と関係ない話も関わってくるんですけど、
作者さん的には真面目に高く評価されるべき感動的なシーンとして描いていたってのが一番救いようがない。何ならこれすらネタツイとして見てもつまんねえわ。
★ケヤルガがセツナを下に見ていて感じ悪い
氷狼族の村を襲っている王国軍を見て怒りに燃えるセツナに「まだ待て」とケヤルガが言うシーンで、彼は泣いて唇を噛み切りながら耐えるセツナの様子を見て心の中で「ちゃんと“待て”ができるじゃないか」とか言い出すんです。
前回の感想で「同じ境遇の仲間が奴隷としてではあっても参入したしここからどう主人公の心が動いていくか」みたいな期待をさせといてコレですよ。お前の「今まで酷い目に遭ってきた」って過去は誰も彼も構わず見下すための免罪符じゃねえからな。少なくともその女の子はお前と同じ復讐に燃える一人の人間であって、お前の立場から見下していい相手じゃねえんだよ。
これは主人公のケヤルガにだけ向けた言葉じゃなく作品全体に向けた言葉として提示しますけど、復讐をテーマとした物語なら復讐する側である主人公の評価を落とすような描写をしないでもらいたい。ただでさえセツナのエピソードって本筋から逸れてるのに。
★復讐の美学(嘘)
ホモ「俺の復讐には美学がある」
馬込「なになになに〜!?」
ホモ「己を害さない者は殺さない(自分から突っ込んで兵士ぶっ殺しながら)」
馬込「エッ、エッ……どうゆうコト?」
ホモ「だが、これはセツナの復讐だ。だから俺は存分に力を振るえる」
馬込「アニメスタッフさんも大変だよネ……」
すみません。このシーン見てる間は意味不明過ぎてハチワレちゃんみたいになってしまいました。
あのー、アレですね。意味もなく人生やり直して自らケツ掘られに行って急に復讐誓い出すようなガンギマリホモ太郎相手に論理的思考能力を求める方が間違ってるのかもしれません。
★いきなり王国全体に復讐を誓う
フレイアの純朴な振る舞いを見たケヤルガが
「フレイアとなった彼女からはフレアだった頃の嫌な性格が取り除かれている」
「つまり王国の環境そのものが彼女の悪しき人格を形成したのか」
「じゃあ王国そのものを潰さないとな」
とか言い出すんですけどお前の復讐対象はフレアとブレットとブレイドだろ。無意味な形で元を辿るなバカのくせに。
ていうかフレイアになってから性格変わってるの自分で性格変えたからじゃなかったんかい。自分が自分でなくなるから元のフレアは怖がってたしそれが復讐として成立するものだと思ってたのにわけわからん理屈をこねるなよ。
★氷狼族も氷狼族で頭悪い奴しかいねえ
まず今回の戦い、王国軍の兵士が氷狼族の逃げ遅れを縄だか鎖だかで繋いで防壁の前に連れてきて逃げ込んだ連中を挑発するって形で誘い込む作戦に出てるんですね。
で、それにまんまと引っかかって飛び出して弓で殺されてくのも大概間抜けではあるんですけど私がこの項目で言いたいのはそこじゃないんですよ。
まず、捕まってる連中がこちら。
で、それを見て我慢できず飛び出してきたのがこちら。
もうわかる人もいるでしょうけど、これっておかしいんですよ。
王国軍が氷狼族を拉致して奴隷として売ってるのを考えると下手すりゃ捕まった時点で売り飛ばされてもおかしくないんですが、奴隷としての利用価値が高い女が逃げ遅れてて屈強な男(中にはジジイもいる)が逃げ延びてるんです。
いやそりゃ身体能力的には女より先に男が先に逃げててもおかしくないんでしょうけど、この男ども思わず飛び出したくなるくらい守りたい女達を見捨てて自分らだけまんまと逃げ切ったってことですよね? 最悪な奴しかいねぇじゃん。
自分らがのんびり立て籠もってる内に女達が売り飛ばされてたら間に合わなかったはずなんですよこの場面。わざわざ彼女らを売りに出さず男達の前に差し出してきた王国軍の皆様は思いやりに満ち溢れた慈悲深い善人じゃないですか。それに比べてセツナの名前を全員知ってるレベルで繋がりの濃いコミュニティに属しながら女達を見捨てた男どもの薄情さよ。
とりあえず作者さんには「能力の差がシナリオ展開の根拠として機能しない場合もある」と知っておいてもらいたいところです。
★魔物の毒の扱いが雑過ぎ
良かった部分でも触れた魔物の毒ですが、氷狼族の皆さんにはまずお前らが復讐すべき相手は自分達を拉致ってる連中であって無関係なラナリッタ市民じゃねえってことを全力で伝えたい。主人公といい何でこの作品の復讐者達は復讐の対象をとっ散らかすんだ。
しかもその毒で奴隷として売られた仲間まで病気になってんだからアホ極まるっていうか、本当に目先のことさえ正しく認識できない哀れな知能の持ち主なんだなと憐憫の情さえ湧いてくる。
せめて氷の爪とか出せるなら毒を含んだ水で氷作ってそれで相手を引っ掻くとかできるだろ。なんで倒すべき相手放ったらかして自分達に何もしてない街の連中に仲間すら巻き込む形で危害加えてんだ。
あとこの流れでケヤルガが街に薬を流すようにしたわけですけど商人との取引で扱った薬が値崩れ起こしません? 別にゲスな商人が損しようとどうでもいいと思ってるのならそれでも構いません。ただ商人同士の繋がりを考えるとケヤルガが商人を利用して金儲けするの今回が最初で最後になると思うんですがそこんとこどうなんでしょ。
何か考えがあってそういう行動に出てるならいいんですがそうでなければ今後資金繰りに苦戦する羽目になりますよね。今回なんて顔と名前隠してるとか関係なしに実在する特定の流派で剣振り回して王国軍を敵に回したんですから、普通に考えれば容易に個人特定されて真っ当な手段で稼げなくなるでしょ彼ら。
◆総評
どんだけツッコませれば気が済むんだよこの駄作は。
前回の方がまだマシだった。何なら2話でさえ「書く手間がかからない」という点では今回よりマシだった。何ならこれでも若干削ったくらいです。
話の中身としてはセツナとヤッて王国軍殺戮して宴会してセツナとヤッたってだけのはずなのに構成がグズグズ過ぎて本当に酷い回でした。
何が恐ろしいって、一応コミカライズ版で先の展開知ってた私でさえいざ文章にしてツッコミ入れるってなるとこんだけボロボロ出てくるものだって先に予測できてなかったっていうのが一番怖い。次からもヤバい話がどんどん出てくるんだろうなあと今からキツくなってきました。いや観ますし書きますけども。
とにかく今日は疲れたのでこの記事書き終えた後は遊んで食って寝ようかと思います。
それでは皆さん、また次の記事でお会いしましょう。