アニメ感想文『回復術士のやり直し 第11話』
皆さんこんにちは。馬込巣立です。
やっとこ11話まで来ましたね、アニメ『回復術士のやり直し』。次で終わりと思うともう少しだけ頑張れる気がします。
正直言うとこの感想記事を書く上ではクソアニメの視聴よりもスクショ画像を見られる程度に整えるという面倒極まる作業が一番辛いんですが、まあそんな個人的な話は横に置いときましょう。
とりあえず私はさっさとこの記事を投稿してこないだ買ったファイアーエムブレム風花雪月を進めたいんです。そんなわけでちょっと気合い入れていこうかなと。
では11話感想書いていきましょうか。
動画はこちら(なんか知らんけどまた埋め込みできるようになっとる)
◆概要
弱体化させたブレイドに復讐を遂げたケヤルガは奪った宝玉によって神装武具という固有装備を入手。大幅に自らの戦闘能力を向上させて高笑いしながらフレイアとセツナを抱いて夜を過ごしました。
そして翌日になってノルン姫が動きを見せます。どうやらマッチポンプ式の策略によりブラニッカに住まう魔族と人間達を悪党に仕立て上げ、敵対的な相手を皆殺しにする形で強引に都市を制圧しようとしているようです。
で、その過程で
カルマン(例の商人)が殺されました。なんてこったい。
彼と仲良くしてた相手を殺されたケヤルガはこれに激おこぷんぷん丸。早速神装武具を用いて王国の兵を次々殺していきます。
ケヤルガの虐殺が進む中、いつぞやと同じように巨大な立体映像と化したフレアの姿が空に浮かび上がったのでした。
そんな具合に話が進んだわけですが、今回は良い悪い以上に「もったいねえ〜!」という感情が結構あったのでそこらへんを解説していきたいと思います
◆良かった部分
★ブレイドへの復讐
今回前半で行われたブレイドへの復讐ですが、流れも良かったし久々に演出の妙も冴えてましたね。
というのも今回の復讐、「食欲と性欲」というテーマがあるんですよ。
具体的には食欲と性欲を増幅された男達を用意して、「犯されてる間だけ食い殺されずに済むけどちゃんと積極的に致さないと食欲が優先されて食われるよ」ってルールを設けるわけですね。一晩耐えたら逃がすという条件もつけています。
これの何がいいかっていうと散々男の存在を拒んできたブレイドが自ら男を受け入れなければ死ぬ状況にまで追いやられているって点です。要するにキャラクターの造形に適した絶望を用意できている。
加えて最後はブレイドが信仰しているフレアの姿に変身して心を折るというのもただヤるのに疲れて食い殺されるわけじゃないのが“芸”って感じで素敵。
で、更に言うと今回の演出ですよ。これが本当に素晴らしい。
まずルール説明の時にグラス越しに映されたブレイドがワインに沈んでいく演出。
そしてブレイドの心が折れ食い殺されていくのとほぼ同時、ケヤルガがその様子を見ながら飲み食いするために用意してあったワインが底をつき肉も食べ終えられるという演出。
で、最後に直接的な描写をしないままブレイドの剣が宝玉に戻ることで彼女の死を示す演出。
以上、久しぶりにこのアニメが誇る演出のクオリティを見せてもらいました。こういうのでいいんだよこういうので。
私の記憶が確かならコミカライズ版ではこのシーンもう少し淡白というか、ただブレイドが体力の限界を迎えて食われるだけだったのでここはいい感じの流れができていたなと感心したんですよ。
まあつってもこの流れの中に思うところが無いわけじゃないので、そこは後述します。
★“鷹眼”トリスト・オルガンの強キャラ感
11話にして本格的に主人公に絡んできた10話初出の現状ラスボス最有力候補、“鷹眼”トリスト・オルガン。「なんかおかしくね?」とか言ってはいけない。
コイツが思ったよりちゃんと強キャラしててほっとしたんですよ。流れとしてはイヴの時と似ていて、日常の中に溶け込んでいきなり喧嘩を売るわけではなく紳士的な対話に終止したところがかっこよかった。
ただ警戒しているアピールをするだけでなく相手の能力を認めて「何ならウチで雇おうか」みたいな冗談まで交える大物っぷりは「マジでこのアニメの悪役か?」と首を傾げるレベルです。比較対象としてちょっと外道ムーブしてるだけで本人は特に何もしてないノルン姫の小物っぷりが加速していく程度には大物。
次で最終話となればきっと1話かけて彼との戦闘が繰り広げられるのでしょうし、そこがどう描かれるのか楽しみですね。
★進化した当たり屋ムーブ
今回カルマンが殺されたことでケヤルガがブチギレまして、「仲良くなった友達が殺されたんだからこれは復讐するしかないよなあ」と言うシーン。
いつものノリだったらまたガンギマリホモ太郎が言いがかりつけて暴れようとしてるよくらいにしか思わないところですが、今回だけちょっと様子が違いました。これも演出の技巧が大いに影響している部分です。
ケヤルガの心情を表すかのように雨が降り出し、ずぶ濡れになったケヤルガが泣き笑いながら「アタイ…許せへん!」するところでちゃんと強がりで言っているだけなのを視聴者に絵面のみで説明できてたんですよ。
水滴が額から目、目から頬へと伝っているため「雨が偶然涙に見えているだけ」とも「雨に濡れながら泣いている」とも受け取れる絵にしたのは流石と言う他ありません。
この絵のおかげで「あ、本当は恨みとかどうでもよくてただ暴れたいだけなんだな」というこちらの呆れがある程度ですが抑制されます。
まさか終盤近くになってこのアニメ製作陣による演出力をまた見られるとは。
ただこっちはこっちで言いたいことあるので次の悪かった部分にて説明します。
★ちゃっかり生きてた酔っぱらいコンビ
皆さんはこの二人を憶えているでしょうか。
そう、8話の酒場でブラニッカの成り立ちについて説明してくれてたおっさん達です。
以前「死んでるようにも見えるけど位置関係的には助けてもらえたようにも見える」と言及したところ、どうやら生きてたみたいですね。良かった〜。
こういうサブキャラを捨てずに再利用するやり方、創作の姿勢として個人的に大好きなんですよね。ただ単に私が好きな描写ってだけなのでこれ以上は特に何も言うこたないんですが。
◆悪かった部分
★ブレイドを殺すタイミング
ぶっちゃけ前回のBパート内で今回の復讐やるべきだったんじゃねえのと思わざるを得ません。実際尺の無駄使いそこそこあったし。
考えてもみてもらいたいんですが、コイツって主人公にとってメイン復讐対象のはずなんですよ。じゃあもっと劇的な形で決着をつけるべきだったはずですよね。
少なくともAパートで終わらせたらアカンやろと。なんでしたっけね、どっかのアニメで最終回のAパートに挿入歌流して微妙な扱いされたってのがあったと思うんですがそれ思い出しました。とある2期でしたっけ?
アニメのAパートって決着つけるタイミングでは決してないはずなので、そこをちゃんと踏まえてほしかったなというもったいなさが滲み出てしまいました。
それと彼女に対しては「食欲と性欲」をテーマとした復讐を敢行したわけですが、別にブレイドと食欲は特に関係ないっていうね。
例えばこれでブレイドに「剣の効果で自動回復する代償として大食らいになってしまった」とか「犯した少女の体の一部を切り取って調理して食べる習慣がある」とかだったらまだ絡めるのも納得できるんですけど、特にそういうのありません。
ただ唐突に食欲要素を出してきただけってそりゃいくらなんでも情緒が足りてない。
せめてラグナロクを握らせたまま錆びついた安物の剣で貫いて、体から剣を押し出そうとする回復の力が更に傷を押し広げて最終的には出血多量か破傷風で無惨に死ぬとかやってればまだ納得いったのに。前後運動する剣を男性器に見立てるという演出にも繋がるでしょう。
★神装武具を手に入れるタイミングも悪い
フレアが宝玉持ってたのわかってたなら主人公であるケヤルガが神装武具を手に入れるのはもっと前半であるべきだったんじゃねえかなと、こっちでもタイミングでの不満点が出てきてしまいました。
というのもこれって主人公しか持たない唯一無二の武器なわけで、いるのかどうかすら微妙ですけどこの作品の熱心なファンとかからしてみればそれを使った活躍を見たいと思うわけじゃないですか。
でももうアニメ11話なんですよ。見られる場面なんて限られてます。
なので出すとしたらもっと序盤で、その後色々と見どころ用意できたはずなんですがもうやっちゃったもんはしょうがない。手遅れ。
このゲオルギウスとかいう武器の活躍はどうやらアニメ放送圏内において1回しかなさそうです。あーもったいねえ!
★なんで王国軍がブラニッカ襲ってんの
11話の中で設定上最もツッコミを入れたいのがこのポイントなんですよ。
言っておくとコミカライズ版ではそこの説明ちゃんとしてました。一応確認済みです。
ただなんでかアニメでは説明が省略されてしまっており、「そもそもノルン姫何しに来たん?」という疑問がどうしても晴れない。
なんか王族が急に辺境の街にやって来て(仕込みとはいえ)その中から飛び出した一人が刃物持って襲いかかったからって住人皆殺しにしようとしてるって、普通に考えて行動がキ印のそれですよね。地続きになってる近隣諸国とかが知ったら多分ここぞとばかりにめっちゃ責め立てますよ。ホント何してん。
これでノルンが作中では策士扱いされてるってのがなんかもう虚しい。
★カルマンの死を受けて
私はカルマンが死んだ際のケヤルガのリアクションを良かった部分で褒めました。しかし納得いかない点もあります。
初めて来た街で仲良くなった商人が殺されて悲しむのはいいんですけどね。
じゃあなんでコロシアムで村人達が殺されてった時にはリアクション薄かったんだよって話になるじゃないですか。
あとついでに言うとお前アンナさんが死んでから「人間らしい心は失った」的なこと言ってただろアレどうなったんだよ。
これについてそんなに深堀りする意味もありませんし、一言でまとめます。
相変わらずケヤルガはアホ。
これが全てです。
◆総評
活かせそうな設定を無駄死にさせまくっててマジでもったいねえなという気持ちが止まりませんでした。特にカルマン、あいつの死はもっとちゃんと描いてもらいたかった。
これは作品としての悪い点というより展開上仕方ない点なのでこっちで語りますが、主人公に他者を回復する能力があるせいで重要人物のピンチが常に「着いた時には手遅れ」という展開に繋がってしまうのは難点かなと思いましたね。アンナさんの時もそうだったのでこれに関してはアニメ視聴を経て気づいたこの作品特有の弱点と言えるでしょう。
何はともあれ残り1話。次の12話と最終的な総括の二つを書き上げればこの回復術士のやり直し感想記事も終了と相成ります。
多分最後は総合評価で駄作認定するんだろうなと今から軽く予想できますが、たまにアニメスタッフさんと声優さんが頑張ってくれるのでそこの期待は捨てずに持っておきましょう。
では、また次の記事で。