不在の巣

なろうで小説を書かせてもらっている馬込巣立のブログです

アニメ感想文『回復術士のやり直し 第5話』

 皆さんこんにちは。馬込巣立です。

 最近ちょっと休日にも仕事を割り当てられてくたびれきっているところですが、どうにか感想記事書いていきたいと思っています。来週に回して二話分まとめてやるよりはその方が楽そうだし。

 

 正直前回があまりにも酷かったもので今回の記事書くの若干怖かったんですけど、まあ流石に二連続でああいう記事にはならなさそうで何よりですわ。

 

 というわけで『回復術士のやり直し』アニメ版第5話の感想を書いていきましょ。

 

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動画はこちら

www.nicovideo.jp

 

 

 

◆概要

 

 流行り病を収束させる準備を終えたケヤルガ一行は商人から薬の代金を受け取り、薬の調合レシピを求める彼らと脅し合いを繰り広げた後に上辺だけの手続きを終えて帰路へ。

 その途中で以前欠損した腕を元に戻した剣聖、クレハと再会する。

 自分と同じ流派の剣術で王国軍の兵士を傷つけたケヤルガを敵と認めた彼女は交渉の余地も見せず斬りかかってきた。

 

 というのがまあ大体のあらすじになります。

 

 今回の話、レビュー動画界隈でも「中身が薄くてあまり語れそうにない」みたいな扱いを受けているようですが私としては糞が詰まってるよか100倍マシだと思います。

 

 では良かったところから。

 

 

 

◆良かった部分

 

金貨が血に濡れるシーン

 

 序盤でケヤルガに絡んできた王国軍の脱走兵をセツナに殺させるシーンがあるんですけど、そこで直接殺す描写を入れずセツナを買おうとして差し出した金貨が血で濡れるという演出が入るんですね。

 

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 ここはいつも通り見事な演出力であると感心しました。

 加えて王国軍の脱走兵に対しケヤルガが放った「お前は敵前逃亡の罪で死刑だ」というセリフも、王国に対する復讐を誓った主人公が王国側の人間に向ける意趣返しの言葉として適したワードチョイスだったと思います。

 

 

 

クレハとの戦闘描写

 

 ケヤルガとクレハの戦闘アニメーション、今回は普通に高評価して差し支えない仕上がりになっていましたね。一部ぬるぬる動いているのが見ていて楽しい。

 

 まあX型エフェクトにやや使い回し感があったのは少し残念でしたが、そこは予算の都合もあるでしょうし強く触れません。

 

 

 

◆悪かった部分

 

脱走兵の挙動が物語として雑

 

 良かった部分で演出を高評価したAパートでの脱走兵のシーンですが、コイツの絡み方が「氷狼族の村を襲ったものの敗走して落ちぶれた王国軍の人間が氷狼族を連れている相手に示す態度」として非常に雑でした。

 

 もはや浮浪者同然の状態で奴隷を引き連れてる相手に絡むってのがまずファンタジー世界においては自殺行為なんですよ。だって貴族や高い地位にいる商人の可能性が高いんですから。

 加えて氷狼族なんて氷の爪を自力で作り出せるような連中、普通に戦闘奴隷の可能性すらあり得ますよね。過去にその種族が助っ人連れてきた事により自分達の軍がぐちゃぐちゃにされた経験があるならまず逆に身を隠すくらいしないと不自然なんですよ、ここ。

 

 あと脱走兵本人の様子もおかしい。

 

 ジオラル王国って敵前逃亡=死刑なんですよね。なんで逃げたのが世間にバレてる状態で軍の紋章らしきものを未だ服につけているのかが謎極まりますし、そもそもそんな立場の人間が王都から馬で一日かかるかどうかくらいの距離にある犯罪都市とかいう最悪な立地条件のラナリッタで酒飲んでる意味もわからん。

 私だったら例え死ぬ可能性が高いとしても歩いて他国に亡命しに行くかあるいは顔を変えるなりして犯罪組織に雇ってもらうべく努力しますけど、そんな程度の認識すら持てない能無しが都市国家で軍に属してたんですか?

 

 

 

復讐のベクトルどこ行ってんだ

 

 商人が連れてきた男達に囲まれて「女二人を守りながらじゃ満足に戦えないだろ」と言われたケヤルガが「こいつらは道具に過ぎないから無視してお前らを殺す」とか言ってるシーン、色々と問題あるんですが一つ触れるなら「フレイアが死んだら復讐を果たせなくなるからまずい」って話はどうしたよ。

 

 この主人公やっぱ頭が相当悪いからか、定期的に自分の過去の発言すら裏切る事があるんですよね。

 

 

 

クレハがケヤルガの顔を知っているという謎

 

 先に言っておくと私が認識している限り第5話中最大のツッコミどころです。

 

 まずケヤルガが剣聖と同じ流派の剣術を使った前回の戦闘、ケヤルガの顔を見てそれを流布しそうなのって王国軍の生き残りくらいなものなんですよ。しかし敵前逃亡=死刑とかいう頭悪い決まり作ってる国のせいでそいつらが情報を提供してくれる可能性はほぼ皆無なため、まずケヤルガの顔を外部の人間が知る機会なんて無いはずなんです。

 だというのにクレハはケヤルガを見て本人かどうかの確認すらせず斬りかかってるんですよ。この時点で強い確信がなければあり得ない挙動なわけじゃないですか。

 

 そして「人違いじゃないか?」という珍しくまともなケヤルガの言葉に対し、この剣聖はこう返したんです。

 

 

「あなたは王国の兵士を殺した重罪人よ。死んで当然ね」

 

 

 

 

 

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 正しいか間違ってるか以前に返答になってねえんだよ。

 

 そして数日前の戦いに触れるも結局最後まで「どこでクレハがケヤルガの顔を知ったのか」が明かされないまま終わったんですけどもしかしてそもそもどういう経緯でとかそういう細かい設定すら全くされていない?

 流石にアニメスタッフもメインストーリーの流れに沿う以上、この崩壊した設定を抱え込んだまま進めるしかなかったのでしょう。かわいそうに。

 

 

 

情報(というか作品の設定)のガバり具合がひどい

 

 大人しくなったクレハにケヤルガが王国の暗部を仄めかすシーン、そこそこ成長しててある程度教養もあるはずの貴族が日常的に見ている亜人の奴隷の由来を知らないっておかしくないですか。

「王都に戻って裏を探ればあっさりと真相がわかる」ってケヤルガが言ってる辺り、多分これって王国の少なくとも貴族社会においては一般常識くらいの知識ですよね。我々の感覚で言うなら小学生が野菜の栽培について勝手に生えてくるものだと思ってるのと同じかそれより下のレベルでしょ。ゆ虐のゆっくりかよ。

 

 もうこれまでに何度言ったかわかりませんけど本当にバカしかいないんですねこの作品。

 

 

 

倫理観が一切ない色欲魔人ども

 

 OP明けの青姦も無駄に長かったんですけど、それ以上に必要ないのがクレハとのセックスシーンですよ。

 

 なんか「償いをさせてほしい」的なこと言って情事にもつれ込んでましたけどその言い分の時点で品性下劣。

 娼婦だってある程度のプライドがあれば自分の体を売ることに償いなんて意識持ちませんって。相手が求めたならまだしも自分からそれ言うのは「私とヤれるんだから許すでしょ」という糞浅ましい前提条件がなければ成立しないんですから。

 貴族の貞操観念と倫理観、こんな若い内からここまでトチ狂ってるのか。ジオラル王国の未来は暗澹としているな……。

 

 しかもそれで許してもらおうと思ってる罪って間違って殺そうとした件についてですよね。お前の股には人命より重いGでもかかってんのか?

 殺そうとした件について謝るなら基本は相手に沙汰を委ねるもんでしょ。罪悪感から謝るしかできなくなるもんじゃないんですか。一度は切り刻んでしまったアルクェイドに心から謝ってる時の志貴を見習え。言うのが遅くなった件も含めてマジで罪悪感に押し潰されそうになりながら謝ってたんだぞ。

 

 で、ケヤルガもケヤルガですよ。アイツどういうわけか媚薬使ってクレハを発情させてましたからね。

 本当に大きな疑問なんですけどこの刃物持った〇〇〇〇とヤる必要性ってあります? 復讐と何も関係ないですよね。味方に引き込むなら罪悪感つつけば良いだけの話ですし。

 ただエロいシーン入れてR-18コンテンツに触れる覚悟もない陰キャ童貞中高生からの支持を集めるためだけのサービスシーンなのかもしれませんが、先に述べた通り流れがクソ過ぎて純粋に面白くないんです。

 

 もうちょっとシナリオ構成の方を頑張ってくれないとマジで陰キャ童貞中高生以外からの支持受けられませんよ。ただでさえ基盤がグズグズなのに。

 

 

 

◆総評

 

 今回の話がレビュー動画界隈の人達から「内容が薄い」と言われる理由、わかる気がします。

 

 最大の要因として、既に何度も言ってきたことではありますが無駄にエロいシーンを挿入してるせいで話の流れが大幅に遅れているというのがあります。しかも地上波放送やニコニコの配信では規制が入る関係で見ていて一切得るものがない。この性的描写のせいで尺を奪われ本編の進行が遅れて話の展開を阻害されてしまうんです。

 特に今回は前半と終盤でそれぞれそういったシーンがそこそこの尺で用意されているため、「商人を騙して金もらって剣聖と戦って仲間にしました」という一行で説明できる内容に丸々一話使う羽目となったわけです。

 

 はっきり言いますけど5話っつったらこのすばならベルディア(最初に戦う魔王軍幹部)倒してますからね。回復術士もやるならブレイド倒すところまで済ませてないとヤバいんですけど、残念なことに先に述べた理由でクッソ遅い。

 

 まあでも前回よりはツッコミどころ少なめだったのでまだマシではありましたよ、第5話。名作か駄作かで言えば間髪入れず駄作認定するしかない出来栄えですが。

 一応次回はようやく本筋が動いてくれそうなので期待しているところです。面白いかどうかで言えば間違いなくつまらないだろうからクオリティはもはや期待してません。今の私は話が進むか進まないかで良し悪しを判断しています。

 

 ではまた次の記事にてお会いしましょう。