ダイレクトマーケティング『消えちゃえばいいのに』
こんにちは、馬込巣立です。
本日は久しぶりに読書感想文を書こうと思い至ったので、過去に読んだライトノベルの感想を書いていこうと……しているんですけれども自信がありません。
何故かというと今回感想を書く作品、極力タイトルと表紙以外の情報は伏せた状態で読んでいただきたいからです。
更に言うとそもそも感想を書くのが非常に難しい作品でもあります。今回「読書感想文」ではなく「ダイレクトマーケティング」のカテゴリーで記事を作成した理由もこれが主な要因と言えるでしょう。
その一方で、一点特化型ではあるもののクオリティ面では素晴らしい作品でもあります。個人的にラストシーンの強烈さで言えば00年代のライトノベルを読み漁ってきた自分が自信を持って「最強」と断言できるレベルです。
しかしあまりにも周囲にこの作品を知っている人がいないので、せめて宣伝も兼ねて書き進められればと思っています。
今回ご紹介しますのはこちら、富士見ファンタジア文庫の『消えちゃえばいいのに』です。
画像の貼り方忘れたので適当なリンクになってしまっているかもしれませんがご了承くだせえ。
それではこの作品の概要から述べますね。
美少女四人から告白された主人公の前に死神を名乗る少女が現れ、「これから百人死ぬ」と告げてくる。
以上。
マジでこれより先の説明はしたくありません。すみません。
流石に「語るのは野暮なので作品の詳細については伏せます」だけでは絶対にマーケティングとして成り立たないので、ネタバレを伏せつつご紹介していきます。
この作品をネタバレ抜きでご紹介するには「私が何故この作品のネタバレを執拗に避けるのか」を説明しなければなりません。
このライトノベルを読んだ人なら伝わると思うのですが、作品全体の構成が少々変わっているんですね。
具体的に言うとラスト1ページに辿り着いた瞬間それまでの全ページが導火線に過ぎなかったのだと悟る爆弾です。何なら当時のライトノベルオタクの間でもこのような作品が富士見ファンタジアから出されるのは意外だったのではないでしょうか。
最後に生じる爆発の威力は基本的に玄妙なる言葉選びに支えられているものだと認識しています。
鮮やかな伏線回収や緻密な情景描写、キャラクターの魅力などではありません。いや、当然それらも最低限保障されるレベルなのですがこの作品は最終的にワードセンス一本勝負で読者を爆殺しに来るんですよ。
このライトノベルを読んだ当時の時点で私は大学ノートに自作小説を書き綴る日々を過ごしていましたが、あのラストには「伏線とか世界観とかは凡人が書く小説で設定練り込むもんなんだよ」と言われたような気さえしました。別にそんなメッセージ性無いと思いますけれども。
おこがましくも私は「どんな凡人でもルールを守りつつ法則性を見い出して設定を練り込めば大半のプロの作家には並ぶ事ができる」くらいに考えて創作活動をしてきましたし、今もそう信じながらなろうにて小説を連載しています。しかしこの『消えちゃえばいいのに』作者の和智 正喜さんにはどう足掻いても届く気がしない(あとがき読む限り相当なベテラン作家さんなので当然ではある)。
何と言えばいいんでしょう? もちろん途中までの話にも意味はあるし伏線回収の場面とかもあるんですけど、やった上で全部蹴っ飛ばして文章の力でぶん殴られたようなもんです。少なくとも現段階の私では到底真似事すらできません。
元々ダイレクトマーケティングであって読書感想文ではなかったのでネタバレせずに宣伝するのはある種正解だと思うものの、ここまでの文章で本作の魅力を正確に伝えきれた気がしません。
強いて付け足すとするならこの作品、向き不向きがはっきりしてます。ストレスフリーな作品しか受け付けないタイプの人は間違いなく読まない方が良いでしょう。そうでない方でも好き嫌いあるでしょうけど、基本的には高水準の物語なので興味がありましたら是非読んでみてください。
では今回は短くて恐縮ながら、久しぶりのダイレクトマーケティングでした。
現場からは以上です。